セイコー・エステート&ディベロップメントは、福岡大学と研究を進めている建築物の次世代冷却システム「CoolSkin」の特許を出願した。水の蒸発によって熱を奪う「蒸発冷却」を応用し、建物の外壁自体を冷やす。既存建物にも後付け可能で、建物管理システムで給水量を最適制御しながら、空調負荷の軽減に貢献する。
セイコー・エステート&ディベロップメントは2026年5月21日、建物外壁を冷却する次世代システム「CoolSkin」の特許を出願したと発表した。
CoolSkinは、建築物外皮材(CoolSkin層)と、IoTセンサーや建物管理システム(BMS)などから成る冷却システム。水の蒸発で熱を奪う「蒸発冷却」も考え方を採り入れ、外壁面への給水や面方向への水の拡散、湿気や水分の制御、センサーによる給水制御などの技術を組み合わせている。温度センサーや湿度センサーで周辺環境を検知し、給水量やタイミングを制御することで、水使用量を抑えつつ安定した冷却性能を確保する。
将来は、IoT技術や建物管理システムとの連携で、施設全体の温熱環境管理、空調負荷の最適化、維持管理の効率化にもつなげる計画だ。
新築の導入だけでなく、既存建築への後付け施工も想定している。ブラケットを介して外壁面へ設置する構造とすることで、改修や大規模修繕時にも適用可能になる。対象建築物は、工場や倉庫、商業施設、介護施設、学校、集合住宅、オフィスビルなど、幅広い用途での活用を見込む。
現在、福岡大学 工学部建築学科 准教授 塚越雅幸氏やゼミ生と共同研究を進めており、外壁表面温度の低減効果、水使用量の最適化、外壁材の耐久性などを検証している。今後は、大学や研究機関、建材メーカー、事業会社、行政機関などにも協力を求め、製品化を目指す。
建物や屋外空間を冷やす方法として、これまでにも打ち水、ミスト冷却、保水性外壁材などの技術が活用されてきた。しかし、外壁面に水が均一に広がらない場合、冷却効果にムラが生じてしまう。また、建築物に水を活用する際は、壁体内部への湿気の侵入、結露、腐食リスクなどにも配慮しなければならない。
さらに、気温、湿度、日射量、風の強さなどによって必要な水量や蒸発効率は変化する。そのため、周辺環境に応じて必要な分だけ水を供給する制御も重要となる。
CoolSkinは、こうした課題を踏まえ、建物外壁全体を効率よく冷却する仕組みの社会実装を目標に掲げている。
セイコー・エステート&ディベロップメント 代表取締役 高木政利氏(※高ははしご高)は、「当社はこれまで福岡を中心に不動産投資家、土地オーナー、法人に向けて建築と不動産を組み合わせた資産形成や事業支援を行ってきた。その中で強く感じているのは、これからの建築には単に建物を建てるだけではなく、社会課題にどう向き合うかという視点の必要性だ」と訴える。
さらに「夏の暑さ、ヒートアイランド、空調負荷、建物の長寿命化は、建築に関わる企業として避けて通れないテーマ。CoolSkinは、まだ研究開発段階の技術だが、建築物の外皮そのものを冷やすという発想は、これからの建築や都市環境を変える可能性がある。大学、研究機関、建材メーカー、行政、事業会社と連携しながら、社会に役立つ形へ育てていきたい」と展望を語る。
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