うるるは、公共入札市場の構造的な非効率を分析した「入札ロス白書2026」を公開した。応札して欲しい行政と案件を見落としている企業との「マッチングのミス」、前例踏襲とアナログ事務で膨大な手間が掛かっている「プロセスのロス」、イノベーションを導入しにくい「構造のロス」の3つのロスが判明した。
うるるが運営する入札情報速報サービス「NJSS(エヌジェス)」は2026年4月16日、公共入札市場の構造的な非効率を分析した「入札ロス白書2026」を公開した。白書の作成に当たっては、クロス・マーケティングが2026年3月に行政(公務員、団体職員)と民間企業の入札担当者の各500人を対象としたネットリサーチ結果を基にしている。
日本の公共入札市場は、年間約28兆円の規模に達した一方、入札案件データや議事録、予算情報などのビッグデータの蓄積と生成AIの普及により、入札を取り巻く技術環境は進化し、業務全体を最適化できる新たなフェーズに入っている(出典:中小企業庁「令和7(2025)年度 国等の契約の基本方針について」)。
しかし、深刻な労働力不足に加え、官民双方のプロセスには依然として非効率な慣習や工程が残り、市場のポテンシャルが十分に生かしきれていない。
白書は、官民計1000人の実態調査とNJSSが保有する2600万件超の公共入札データに基づき、現場に潜む課題を可視化した。主な財源が税金でまかなわれる公共入札の「ロス」、すなわち「最適化余地」を模索し、より豊かなくらしにつなげることを目的としている。
2026年版の白書では、公共入札に潜む課題を「マッチング」「プロセス」「構造」の3つのロスとして整理した。マッチングのロスでは、行政の92.2%が「より多くの企業に応札してほしい」と回答した一方で、4社に1社以上にあたる企業の26.8%が「自社が応札すべき案件を見落としている」と答えた。
特に売上500億円以上の企業では、63.8%が準備時間不足で入札参加を断念した経験があるなど、情報の非対称性と機会損失が顕在化した。
プロセスのロスでは、民間企業の43.5%が入札関連資料の作成に、61時間以上を費やしている他、行政担当者の74.4%が提出資料の比較や採点作業を負担と感じていると判明。加えて、地方自治体の74.9%が、前年度の仕様書を4割以上流用しており、最新技術の反映が不十分な実態も浮き彫りとなった。
構造のロスでは、企業の53.8%が「仕様書通りでないと受注できないため、独自の工夫や提案を断念した」と、イノベーションを阻害する要因が明らかになった。
NJSSが保有する案件データによると、2025年には不調や不落案件が4万4698件発生。そのたびに仕様や計画、予算の見直しが必要など、行政側に仕様、計画、予算の「三重の見直し」という大きな追加コストが生じていた。
こうした課題に対し、うるるは公共入札の進化を「入札1.0(紙/対面)」「入札2.0(電子化)」「入札3.0(データ×AI)」の3段階で整理。現在の入札2.0は人手依存の限界に直面しており、今後はAIが案件探索や仕様書作成、評価などの業務判断を支援する入札3.0に移行するとしている。また、AIによる情報収集や事務作業の自動化で、企業は提案の質向上、行政は価値創出に注力できる環境を構築できる提言する。
■アンケート調査
調査時期:2026年3月
調査対象:行政(公務員/団体職員)500人、民間企業入札担当者500人
サンプル数:1000人(スクリーニング数:1万9767人)
調査手法:ネットリサーチ(クロス・マーケティング)
■入札データ分析
分析対象:入札情報速報サービス「NJSS」が保有する入札案件データ
分析項目:2025年における不調/不落案件数、2026年1月の地域要件と公共事業実績要件の付与件数
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