ZEH改修では、高性能断熱材の吹き付け、二重窓の施工、高断熱窓への高断熱化などを実施。断熱性能を示すUA値は、通常改修住戸の0.74(断熱等性能等級4)に対し、ZEH改修住戸は0.27(同等級6)となり、2等級向上した。
2025年8月に実施した夏季実験結果では、就寝中の1〜5時に冷房を停止し、室温の推移を計測した。通常住戸に対し、ZEH住戸では室温の上昇が緩やかで、平均して0.5℃低い温度を維持した。朝のカーテン開放10分後の室温変化も、通常住戸の1.2℃上昇に対し、ZEH住戸では0.1℃上昇にとどまった。1日の平均消費電力量は、通常住戸比でZEH住戸が16.4%下回った。
冬季実験でも、暖房を停止した夜間の室温低下において、ZEH住戸は通常住戸よりも高い温度を維持した。川久保氏は「特に注目すべきは部屋の上下の温度差だ」と指摘する。通常住戸では足元(高さ0.1メートル)と頭部(高さ1.1メートル)で2.5℃の差があったのに対し、ZEH住戸では約2.0℃と、上下温度差が約0.5℃縮まり、足元の冷えが改善したことで快適性が向上した。寝室窓際の放射温度もZEH住戸が2℃高く保たれ、窓付近の冷たい空気の吹き下ろし(コールドドラフト)による不快感の軽減が確認された。
被験者実証には、男子大学生16人が参加した。4人1組の4グループを編成し、各グループは初日(月曜日)を順応日とする5泊6日の日程で滞在。通常改修住戸とZEH改修住戸へ交互に宿泊し、住戸条件の違いが睡眠の質や快適性、模擬作業の結果に与える影響を比較検証した。
ウェアラブル端末などで睡眠の質を測定したところ、夏季実験では、通常住戸に比べZEH住戸で睡眠効率が4.8%向上した。午前中に実施した算術課題では、通常住戸よりもZEH住戸での正答数が6.3%多く、快適な環境が集中力や作業効率の向上につながる可能性が示された。冬季実験の結果は今後分析予定だ。
川久保氏は「今後はデータ分析をさらに進め、ZEHリノベーションによる温熱環境の改善がQOL向上や脱炭素化にどのように貢献できるか、価値を多角的に示していきたい」と語った。
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