日立ビルシステムは、グループ会社と共同開発を進める現場技術者向けAI Safetyソリューションの現場適用を開始する。第1弾として、スマートフォンとウェアラブルカメラ、QRコードを利用して作業時の危険箇所を事前通知する「安全アラート機能」を導入する。
日立製作所は2025年11月14日、グループ会社の日立ビルシステムらが開発を進めている現場技術者向けAI Safetyソリューションの現場適用を開始すると発表した。スマートフォンとウェアラブルカメラ、QRコードを活用し、作業時の危険箇所を事前に通知する安全アラート機能を同月下旬から運用する。
安全アラート機能は、作業現場の安全上の注意が必要な場所に設置したサイネージのQRコードを、技術者が装着したウェアラブルカメラで読み取り、スマホからの音声で注意喚起を行う。現場技術者は通常、作業時に指さし呼称で危険箇所を認識するが、音声による再認識を促すことで安全意識の向上を図る。
日立のビルシステム事業は、日立製作所が組織する事業セクターの1つ「コネクティブインダストリーズセクター(CIセクター)」の中で最大規模の約2万6000人のフロントラインワーカーを擁する。業界全体が抱える人手不足の解消や現場における熟練者と初心者が混在する状況への対応として、現場技術者のナレッジをデータ化し活用するAIソリューションの開発を推進し、日立ビルシステムでは、デジタルサービス「HMAX for Buildings:BuilMirai(ビルミライ)」が提供する価値の一環として、AI Safetyソリューションの開発や実用化に取り組んでいる。今回の開発は、その第1弾。
今回、新機能を限定的に導入した背景には、ウェアラブルカメラの装着とスマホによる音声通知という新しい作業スタイルに、現場技術者が早期に慣れることや作業負荷を最小限に抑えるという配慮があるという。機能拡充を見据えた拡張性のある設計とし、今後はウェアラブルカメラで取得した情報をさまざまな安全施策に活用していく予定。
また、撮影中は一般の人が映り込まないよう注意を払い、映り込んだ場合でも自動的に人物の顔にマスク処理を施すなどプライバシー保護にも配慮して運用する。
日立ビルシステムでは今後、現場作業の映像を遠隔地にいる上司や熟練監督者がリアルタイムで確認できる仕組みの導入を予定している。デジタル技術と熟練監督者のナレッジを融合させ、チーム全体で技術者を支援する新たな体制を構築する。
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