Zen Intelligenceは、作業者がカメラを持って現場を歩くだけで360度画像を記録できる「「zenshot」を建設向けに展開している。直近では、新たなプロダクトとして現場監督の判断を支援するAI基盤モデルの開発にも着手した。
Zen Intelligenceは「Japan Home Show & Building Show 2025」(会期:2025年11月19〜21日、東京ビッグサイト)に、AIを活用した360度現場ビュー作成サービス「zenshot(ゼンショット)」を出展した。作業者がカメラを持って現場を歩くだけで360度画像を記録できるクラウド型サービスで、遠隔からでも施工状況が把握可能になり、現場への移動時間の削減や施工管理の効率化が期待できる。
zenshotの特徴は、専門知識がなくても事前準備不要で撮影ができる手軽さにある。設定済みのスマートフォンと360度カメラ、充電器などの機材がセットになったボックスを現場に設置し、作業者は機器の電源を入れてスタートボタンを押すだけですぐに撮影を始められる。操作方法は、スマートフォンの音声案内や説明動画で確認できるため、初めて使う作業者でも迷わず扱える。1戸建ての建築現場であれば数分で記録が完了するという。
撮影後のデータはスマートフォンを介して自動的にクラウドへアップロードされ、取り込み作業は不要だ。クラウド上では画像処理AIが自動で360度ビューを作成し、どこからでも現場全体の施工状況を確認できるようになる。
現場監督が現地にいなくても日々の現場の状況を確認できるだけでなく、設計担当者や設備工事業者など複数の関係者にデータを共有できる点も強みだ。担当者によると「閲覧のためにアカウントを付与する必要がないため、設備業者が事前調査で閲覧したり、施主が自由に現場を確認したりなど幅広い関係者が使用している」という。
毎日記録を取ることで、ボード下の配筋や断熱材など仕上げ材に覆われる箇所の情報も全て蓄積される。日付を切り替えるだけで過去の施工状況を追跡でき、表示画面を分割して2つの時点を並べて比較可能。スクリーンショットの保存や共有、指示やメモを残せる「現場ノート機能」も備える。
さらに機材の提供に留まらず、導入後はカスタマーサクセス部門が撮影の習慣化まで伴走する体制をとっている。
また、Zen Intelligenceは2025年8月、経済産業省とNEDOによる国内生成AI基盤モデル開発プロジェクト「GENIAC」(第3期)に採択され、施工現場の動画/画像/図面データを学習し、現場監督の認識や判断を代替するAI基盤モデルの開発を進めている。
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