ブースでは、建設作業員の快適性を支援するアイテムも展示した。ヴォイスが竹中工務店の監修のもと開発した吸湿速乾インナー「くっつ汗(かん)」はその1つ。
インナーは特殊な生地構造により、汗を素早く外へ逃がし、肌に張りつきにくい。一般的な生地と比べて1.5倍のひんやり感が得られるとされ、UVカット機能や速乾性も備えている。近年普及しているファン付き作業着のインナーとして着用すれば、清涼効果がさらに高まる。
生地は台湾で糸から製造し、ベトナムの自社工場で縫製している。販売開始は2026年春の予定で、現場ニーズに応じて半袖/長袖/タンクトップに加え、女性作業員向けのバリエーションも展開する計画だ。
さらに、健康支援の取り組みとして紹介したのが、アメリカ発の粉末飲料「Bobelo」だ。砂糖や人工甘味料、着色料を一切使用せず、天然由来の甘さで飲みやすい。電解質を含み、厚生労働省が定める熱中症対策飲料の基準も満たしている。
粉末スティックを水に溶かす方式のため、ペットボトルのゴミが出ない点も現場に適している。価格は自販機のスポーツドリンクと同程度を想定しており、2025年秋の日本初上陸を目指している。展示会場での試飲では「自然な甘さで飲みやすい」と好評を得ていた。
味のバリエーションは、パイナップルココナッツ、ブラックチェリー、青りんごがブースに用意されていた。筆者も試飲したが、さっぱりとした甘みと微炭酸が飲みやすくおいしかった。
竹中工務店は、現場の職人や協力会社の社員が健康を保ちながら働ける環境づくりを重視しており、Bobeloの導入はその一環。スポーツドリンクや麦茶に頼りがちだった水分補給を、より健康的かつ持続可能な形へと転換する狙いがある。
第9回 JAPAN BUILD OSAKAで竹中工務店が示したのは、デジタル技術による効率化と、作業員の健康支援を両立させる姿勢だ。JPDroneのJP-Scoutやレールカメラは、人が入れない場所や危険区域での作業を代替し、安全性と効率を高める。センシンロボティクスのクラウド管理システムは、現場の「見える化」を進め、ペーパーレス化によって管理精度を高める。そして吸湿速乾インナーやBobeloといった製品は、現場で働く人々の体調を守る。
いずれも単体の製品紹介にとどまらず、「建物をつくる会社」から「働く人を幸せにする会社」へという竹中工務店の姿を鮮明に映し出している。建設業界が直面する人手不足や高齢化の課題に対して、デジタルと健康支援の両輪で取り組む姿は、DXの本質を「人を中心に据えた現場改革」として提示するものだった。
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