タダノは、バッテリーを動力源としたフル電動のラフテレーンクレーンを2023年12月に世界に先駆けて実用化したメーカー。電動ラフタークレーンは、日本を起点に、北米、欧州、豪州へと、グローバルで建機の脱炭素化を展開している。CSPI-EXPO2025では、環境対応をさらに進め、竹中工務店などと本格運用を目指す、まだ日本にはない移動式クレーン遠隔操作技術を披露した。
タダノは「第7回 国際 建設・測量展(CSPI-EXPO2025)」(会期:2025年6月18〜21日、幕張メッセ)で、フル電動クレーンと遠隔地からクレーンを操作可能な遠隔操作技術をPRした。
タダノは、「Reaching new heights〜新たなステージへ〜」をスローガンに2024〜2026年度の中期経営計画を策定。2019年度比で2030年にCO2排出量25%削減、製品のCO2排出量35%削減、産業廃棄物の排出量50%削減の目標に沿って、建機の脱炭素化を進めている。タダノのフル電動ラフテレーンクレーンや遠隔操作技術は、サステナビリティー課題に対応した具体策といえる。
移動式クレーンの遠隔操作システムは「CRANET(クラネット)」の名称で、タダノと竹中工務店の提携に、クレーンオペレーターのアルモが参画し、普及に向けた共同研究を進ている。
タダノ 総務部 広報/広宣グループマネジャー 兼 サステナビリティー推進グループマネジャー 山本喜隆氏は、「移動式クレーンの遠隔操作は開発が進んでおらず、海外でもあまり例がない。建設RXコンソーシアムなどへのプレゼンを通じて実証実験の機会を増やしている」と説明した。
CRANETの操作席は、クレーンオペレーター席を模している。実機と異なるのは、画面を見ながら操作を行う点にある。デモでは、屋外にあるクレーンに取り付けられた5台のカメラ映像を屋内ブースのコクピットモニターにリアルタイムで投影し、オペレーターが操作するレバーやスイッチから送られる信号を屋外の実機に伝えて操作した。
移動走行も含め、完全に電動で動くラフテレーンクレーンは、工事現場周辺の騒音やCO2排出などを最小化できる。遠隔操作は、オペレーターの労働環境を改善するとともに、人材の確保にも貢献する。
また、遠隔操作で得られるデータはオペレーター教育にも使え、ブースではデータを活用した教育用シミュレーターも展示された。
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