東急建設は、災害時に仮設住宅となる自社開発の可搬型木造建物「モクタスキューブ」を、平時の活用で建設現場の仮設事務所として運用する。2025年9月の設置を予定し、今後5年間で60棟を製作する。
東急建設は2025年8月8日、自社開発した可搬型木造建物「モクタスキューブ」を震災などの有事に備え、自社建設現場の作業所仮設事務所として導入することを決め、製作を開始したと発表した。2025年9月の設置を予定しており、今後5年間で60棟を製作する。
モクタスキューブは、建築基準法に準拠した可搬型の木造建物。 あらかじめ工場で製作した15平方メートルの1ユニットを大型トラック(10トン車)1台で搬送し、現地でユニットを連結するだけなので、少人数かつ短期間で設置できる。平時は現場事務所で使いつつストックしておくことで、災害時には応急仮設住宅として即座に展開できる。
令和6(2024)年に発生した能登半島地震では、復興支援者用宿舎に採用され、要請から審査期間を含めて3カ月をかけ、20棟を供給。その後、輪島塗仮設工房としても、2カ月で7棟を提供した。
構造は在来木造で、サイズは約6.9メートル×2.2メートル(連結することで、15平方メートル単位で拡張可)。内部はトイレや洗面台、ユニットバス、空調、キッチン、照明などを備え、一般木造住宅と同レベルの耐震、遮音、断熱性能(UA値0.6以下)を有する。
災害時の被災者向け応急仮設住宅の迅速な供給には、事前製作と備蓄が不可欠な一方、平時の活用が課題となっていた。東急建設は現場事務所への利用で解決し、木のぬくもりが感じられる執務環境を提供し、有事には被災地要請に応じて即時転用する運用方法とした。
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