“点検”と“災害対応”は、ドローンの用途としては主要な分野だ。ジェピコは、「Japan Drone 2025」で、PhaseOne(フェーズワン)の超高画素カメラを装着したドローンと、災害発生を知らせる拡声器を搭載したドローンを展示した。
ジェピコは、「Japan Drone 2025/第4回次世代エアモビリティEXPO 2025」(会期:2025年6月4〜6日、幕張メッセ)で、インフラ点検と防災にフォーカスし、1億画素の高解像度カメラを搭載したドローンと拡声器搭載ドローンを出品した。
ジェピコは、エレクトロニクスの専門商社として海外メーカーの製品を扱う企業だ。対象分野は、防衛、宇宙、鉄道、建機、特殊車両、無人機航空機と幅広い。今回の出展ブースでは、ドローン関連の中でも防災と点検にフォーカスした。
展示製品の1つ、高解像度のカメラを装着したドローンは、施設や建造物などの点検業務での活用を想定している。
カメラは、PhaseOne(フェーズワン)がドローン用に新開発した「Phase One P3 Payload」を搭載している。PhaseOneは、デンマークに本社を置くハイエンドカメラのメーカー。航空写真の技術をけん引する企業として、プロフェッショナルの高い要望に応えるハイエンド製品を提供している。
P3 ペイロードは、多くのドローンで使われている汎用的な通信プロトコルやソフトウェアのプラットフォームに対応し、DJI Matrice 300/350 RTKといった機体に簡単に取り付けられる。今展で紹介したカメラは1億画素のセンサーを搭載し、橋梁(きょうりょう)やダムといった対象物を遠くから撮影しても繊細な画像を得られる。そのため、少ない画像点数でも詳細な点検が行える。
日本のカメラメーカーも、施設などの点検用途に使える超高画素のカメラを販売している。ジェピコ プロダクト事業推進本部 特販営業部 部長 麻生忠明氏は、「もともと1.5億画素や1億画素のカメラはPhaseOneが先行しており、日本メーカーは後発だ」と話す。
市場への投入が早かったということは、それだけノウハウも蓄積されている。現場のプロフェッショナルに応えてきた技術の中には、点検用途に応用できる部分も多いだろう。ブースで配布されたカメラの製品カタログには、それを示す具体的な数値や例が示されていた。
麻生氏は、「PhaseOne製品は画素数が大きく、高速でシャッターを切れる。もともとプロカメラマンが使うカメラを作っていたが、防塵/防水機能やソフトウェアも充実し、産業用途での撮影性能や堅牢性、利便性といったニーズにも応えられる」とアピールした。
防災ドローン関連の展示では、「災害情報伝達ドローン」を訴求した。下部に拡声器を備え、地上にいる人に対して避難情報などを伝える。防災情報は一般的には、地上に設置した“防災スピーカー”で住民に伝えられることが多いが、音質はあまり良くない。
また、スピーカーの近くにいる人には聞こえるが、地形や立地などに遮られて聞き取れない場合もあり、いざというときにメンテナンス不足で防災スピーカーが機能しないこともあり得る。情報伝達ドローンは、そのような場面で役に立つ。
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