災害救援に特化したエアロセンスの国産VTOL機、前後に主翼の“タンデム翼”採用Japan Drone 2025(2/2 ページ)

» 2025年07月28日 20時22分 公開
[川本鉄馬BUILT]
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高い安全性を確保するため、重要機能を“二重化”

 AS-H1の航続距離はペイロードなしだと250キロ、10キロ積載した状態で120キロは自動飛行する。

 ドローンの運用で重要となるのが通信機能だ。エアロセンスでは、機体との通信を確実に、これまで複数の通信手段を併用した方法で技術を蓄積してきた。AS-H1には、通信を含め、安全のためのノウハウが複数投入されている。

 VTOL機の飛行で注意すべきなのは、進行方向の前方に障害物を発見した場合だ。AS-H1には、機体内に前方250メートル先まで探知可能なレーダーを搭載している。危険を検知すると、その場で緊急ホバリングする。

 他の特徴では、センサー類やフライトコントローラーを二重化している点がある。特にフライトコントローラーは新しく設計し、通常時に稼働するプライマリーコントローラーと、問題が発生したときに処理を引き継ぐセカンダリーコントローラー、それらをモニタリングするヘルスモニタリングコントローラーを装備している。そうした万一のときのバックアップを考慮した設計思想は、電源にも適用し、4つのバッテリーによる冗長性と安全性を確保した。

トラブル発生も見越し、冗長性をもたせたフライトコントローラー トラブル発生も見越し、冗長性をもたせたフライトコントローラー

 AS-H1は、国土交通省に対して「第一種形式認証」の申請を完了した。今後は審査が進むが、エアロセンスは実証実験のパートナーやペイロードを開発する機体メーカー各社からの問い合わせや相談を待っているという。

ブースでのプレゼン中、フライトコントローラーを手にするエアロセンス 技術開発部 統括部長 鈴木康輔氏。多彩な機器との接続性を確保するため、多くのコネクターを搭載 ブースでのプレゼン中、フライトコントローラーを手にするエアロセンス 技術開発部 統括部長 鈴木康輔氏。多彩な機器との接続性を確保するため、多くのコネクターを搭載
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