矢作建設工業は、AIが工事の進捗に合わせて過去の災害事例を検索/抽出し、チャットで当該事例を配信するシステムを開発し、導入を開始した。
矢作建設工業は2025年12月9日、建設現場での繰り返し災害の撲滅を目的に、AIが工事の進捗に合わせて過去の災害事例を検索/抽出し、チャットで当該事例を配信するシステム「AIあんぜん指示ボット」を開発したと発表した。過去の災害事例を活用し、職員の負荷軽減、安全管理の質向上を目指す。
矢作建設工業の安全環境部では、労働災害が発生した場合、「災害の種類」「発生日時」「発生状況」「被災者に関する情報」「災害原因」「事故防止のポイント」を写真付きでまとめている。一方で過去事例の活用には至っておらず、同種の災害が繰り返し発生していた。そこで、過去15年に作業所で実際に発生した事例災害事例を基に、現場職員や作業員に危険に対する「気付き」を与えられるAIあんぜん指示ボットを開発した。
新システムは、建設現場施工管理サービス「Buildee(ビルディー)調整会議」に入力されている翌日の作業予定情報をAIが取得し、クラウドストレージ内の災害事例フォルダを参照して作業内容にマッチする災害事例を抽出。現場向けビジネスチャット「direct(ダイレクト)」を介して抽出した災害事例のPDFを配信する。職員や協力会社の職長は、工事の規模や建物の用途などに合致した災害事例や事故防止のポイントを確認できる。
職員は有効な災害事例を探す手間をかけることなく、適切な安全指示が行える。また、効率的に実践経験を積むことができ、若手職員の育成にも役立てられる。
実際に使用した現場職員からは「自分の安全指導に説得力があるように感じる」「朝礼やKY(危険予知)指導の際に、具体例を持って話せるようになった」という声が寄せられたという。
矢作建設工業は今後、現場職員からのフィードバックをもとにツールの改良を進め、将来は新システムを安全管理だけでなく、品質管理にも活用する方針だ。
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