三井ホームは、2025年6月1日に施行した熱中症対策の義務化を受け、住宅建築現場で仮設エアコンの設置を標準化した。千葉県内の上棟済みの全現場で設置が完了し、東京エリアでも順次導入する。
三井ホームは2025年6月24日、建設現場の熱中症による健康被害を防ぐべく、千葉県内で上棟が完了した現場で、仮設エアコン設置を標準化したと発表した。
現在、千葉県内では上棟後ほぼ全ての現場で仮設エアコンの設置が完了し、東京エリアでも順次導入している。一般的なスポットクーラーや冷風機と比較し、空間全体を効率的に冷却する仮設エアコンは、過酷な作業環境の劇的な改善につながり、現場を担う職方からも高い評価を得ている。
2025年の夏は日本気象協会がかなりの猛暑になると予想するなど、猛暑が年々深刻化する中、2025年6月1日には改正労働安全衛生規則が施行され、一定条件で企業の熱中症対策が義務付けられた。屋外作業が多い建設業は、「熱中症による業種別死傷者数」が最も多い業種として、特に早急な対策が求められている。
建設現場で一般的な熱中症対策としては、スポットクーラーや冷風機が使用されていたが、「スポットクーラーは室内に置くため冷えた空気が正面から出る一方、熱気を帯びた排気を背後から出すため、室内全体の対策としては十分ではない」といった課題感もあった。
三井ホームの主力となる木造枠組壁工法の建築物では、隙間が少なく気密性に優れ、木材自体が持つ断熱性能により構造躯体が完成した段階(断熱材施工前)でも仮設エアコンの冷却効果が高く、効率的な運用が可能になる。現場からは「従来の対策とは比較にならないほど快適で、作業効率も向上した」といった声も挙がった。他にも「夏場は汗の付着やクロス材の伸縮などで品質に影響が出る可能性があったが解消された」「休憩時には他の職方も集まるので、コミュニケーションが活性化した」などの好意的な意見も寄せられた。
これまでは暑さのために窓を閉め切っての内部工事が難しく、内部工事と外部工事を同時に行うことも困難だった。しかし、仮設エアコンの設置で、窓を閉め切った状態で内部工事と外部工事の同時進行が可能となり、工期の短縮にもつながる。
三井ホームは仮設エアコン以外にも、空調ウェアの着用、塩分補給用の飴や経口補水液などの常備、屋外作業時に作業員に直射日光が当たらないようにするための簡易テント設営など、建設現場での熱中症対策を多数実施している。
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