戸田建設と村田製作所は、福井村田製作所の新研究開発センター建設工事において、本設で設置する太陽光パネルを仮設現場事務所で先行利用し、仮設事務所の「ZEB」認証を取得した。
戸田建設と村田製作所は2024年11月26日、村田製作所生産子会社の福井村田製作所「セラミックコンデンサ研究開発センター」建設工事で、本設に設置する太陽光パネルを仮設現場事務所で先行利用し、仮設事務所の『ZEB』認証を取得したと明らかにした。太陽光パネルは建物完成時に移設。開業後はZEB Orientedの達成を目指す。
戸田建設と村田製作所は、北陸新幹線「越前たけふ」駅周辺の街づくり地区に民間企業として初進出する研究開発センター建設に向けて、ZEB仮設現場事務所を計画した。仮設事務所には、太陽光パネル(発電容量21.12キロワット、パワーコンディショナ容量16.00キロワット)を設置し、建設期間中の仮設事務所での使用電力の49%を、太陽光発電由来の電力で賄う。不足分の電力については、エネサーブと連携し、オフサイトから再エネ電力を購入する。
また、事務所の屋根や壁、1階床に断熱材を追加、窓への遮熱フィルム貼り付けによる外皮性能の向上、執務室の運用を見越した上で容量を最適化した高効率空調機の計画、LED照明の設置などにより、仮設現場事務所での使用電力の54%省エネを達成した。
さらに、計画では、IoTセンサーや太陽光発電量の遠隔監視システムを各所に配置。温度や主要な電力の使用量、発電量をクラウドで24時間モニタリングし、ZEBの効果を検証する。さらにこの技術を応用して仮設現場事務所の温熱環境をヒートマップ化し空調を細かく設定するなど、快適性を維持しながら省エネ化を進める。
これらの取り組みにより、CO2排出量は電力換算で年間約22.9トン、正味103%削減できる見込みだ。また、両社は、本受電までの工事用電力に再エネ電力を使用する計画で、建設期間に工事で使用する電力に伴うCO2の削減を図る。
なお、今回の太陽光発電システムには、福島県での補助金事業の知見をもとに開発した設置と撤去が容易な架台を採用した。移設と撤去を前提とした現場事務所(ユニットハウス)との相性がよく、他現場でも再利用できるとしている。
戸田建設は2022年7月、第二神明道路櫨谷工事の仮設現場事務所でZEB認証を取得した。今回の取り組みは、建築工事の仮設現場事務所で汎用的に使われているユニットハウスのZEB化モデル構築を目的としたもの。断熱塗料実証棟を建設し、断熱塗料の効果検証も併せて行う。開業後はZEB Oriented達成を目指す他、地域住民の利用を想定した緑地整備や災害時や帰宅困難者発生時の受け入れも行う。
両社は今後も省エネ性や快適性を都度検証し、戸田建設はZEB設計技術を利用した環境配慮型施工に、村田製作所は建設時におけるスコープ3の温室効果ガス削減につながたい考えだ。
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