ワークマンは夏物ウェアの新モデルとして、2025年6月からの熱中症対策の義務化に伴い、14の機能を搭載したXshelterシリーズや「着る冷蔵庫」など現場での暑熱リスクを軽減する製品を多数そろえた。
ワークマンが夏物ウェアの新モデルを披露した。2025年6月から労働中の熱中症対策が罰則付きで義務化されることを背景に、暑熱対策に特化した新製品が多数発表された。
その目玉となるのが、「Xshelter(エックスシェルター)」シリーズの夏向け新製品だ。熱中症をもたらす4大リスクである気温、輻射(ふくしゃ)熱、湿度、無風に対応する14の機能を搭載している。
また、2023年発売で約3万点の販売実績がある冷暖房服に、より進化した新モデルを投入する。冷却/温熱プレートを従来品の3カ所から5カ所に増やし、冷暖房能力を強化したものだ。
ワークマンは2025年4月8日に都内で夏物ウェア新作発表会を開催し、専務取締役の土屋哲雄氏が新製品の特長や、「作業者の労働寿命の延長」を目指す取り組みなどについて語った。
Xshelterシリーズは、2024年秋に冬向けの断熱ウェアとして登場した。今回発表されたのはシリーズ初となる夏物。冬物とは別の素材を用いており、熱中症対策にフォーカスした製品となっている。
14の機能のうち、汗が蒸発した際に熱を奪う「気化冷却機能」では、約マイナス9度の冷却性能を実現しているという。土屋氏は、夏物のXshelterについて「これまで多数の機能性ウェアを開発してきたが、これは当社で最多の機能を持つ製品だ」と語る。
これらの機能を支えているのが、「特殊酸化チタン融合ポリエステル糸」と「多層疎水性ポリプロピレン糸」という新素材だ。夏物Xshelterの衣類は、異なる機能を持つ2つの糸をよじって1つの製品に仕上げている。
実際の効果を示すデモでは、50度近い暑熱空間で夏物Xshelterを着用したスタッフの体表温度をサーモグラフィーで測定。素肌の顔部分は高温を示す赤色で表示される一方、ウェアを着用した部分は紫色で表示され、明確な温度差が確認された。被験者は「顔の部分は汗だくになるが衣服内は快適。炎天下でも安心して作業ができそうだ」と語った。
夏物のXshelterシリーズは、作業向けと一般向けに多数の製品をラインアップ。子供用や帽子なども用意されている。帽子について、土屋氏は「私は帽子をたくさん持っているが、その中でも一番涼しい。額に汗をかかない。これまでにないほどの軽さと涼しさ」だと語った。
冬物のXshelterは20万点、12億円の販売実績がある。ワークマンは夏物の売り上げを47万点、22億円と見込んでいる。その背景にあるのが、労働中の熱中症対策義務化だ。屋外で作業をすることの多い建設業や警備業などの業種で導入が見込まれている。
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