東亜道路工業は、常温で製造できるアスファルト乳剤混合物を開発した。製造時のCO2排出量を20%削減し、再生骨材を利用すれば削減率が56%まで向上する。
東亜道路工業は、常温で製造できるアスファルト乳剤混合物を開発したと2025年2月に発表した。茨城支店構内の常温アスファルト混合プラントで、近隣自治体の道路管理者立会いのもと試験的に製造と施工を行った。
日本の舗装延長は約100万キロを超え、そのうち約95%がアスファルト舗装で整備されている。常温アスファルト乳剤混合物は骨材(砕石、砂、フィラー)をアスファルト乳剤で結合したもので、戦後〜高度経済成長期にかけて一般的な舗装材として使用されてきた。当時のアスファルト乳剤は、常温の骨材とアスファルト乳剤を混ぜるだけで混合物を製造できる優れた作業性を有していたが、交通開放までの養生時間が長く初期強度の弱さなどが課題だった。
高度経済成長期には、加熱アスファルトプラントの設置が全国的に広がりをみせ、性能向上も相まって常温アスファルト乳剤混合物の需要が減少。しかし、最近では加熱アスファルトプラントの統廃合に伴う混合物の安定供給が不安視されている。
また、加熱アスファルト混合物は、製造や施工時に多大なエネルギー消費とCO2を排出していた。近年は中温化技術の開発で一定の環境負荷低減が実現しているものの、新技術は製造時の加熱工程が完全に不要となり、加熱混合物と同等の作業性を確保しながら従来工法と比較してCO2排出量を大幅に削減する。
新しいアスファルト乳剤混合物は常温製造のため、既存の加熱アスファルト混合物と比較して製造時のCO2排出量で20%の削減が見込める。再生骨材を併用すれば56%までカットできるという。
製造後は迅速に施工可能で、特殊な乳剤技術の採用により、5時間程度の運搬にも対応する。施工では既存の機械をそのまま使える。
試験結果では標準マーシャル安定度は5.5キロニュートンで、東亜道路工業の規格値4.9キロニュートン以上。摂氏60度での動的安定度も1ミリ当たり700回となっており、規格値の500回以上を満たしている。アスファルト乳剤を使用しながらも、ストレートアスファルトを使用した一般的な密粒度アスファルト混合物と同等の混合物性状が得られたことになる。
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