大成建設は、建築部材の遮音性能を数値解析により低コストかつ短時間で高精度に予測可能なシステム「TSounds-Lab」を開発した。新仕様部材でも、数値解析による評価結果に基づき建物への使用が可能になる。
大成建設は2025年1月28日、建築部材の遮音性能を数値解析により低コスト/短時間で高精度に予測可能なシステム「TSounds-Lab」を開発したと発表した。予測結果の精度は、自社技術センターでの実大実験の測定結果と同等であることを確認済みで、遮音性能が不明な新仕様部材でも、数値解析による評価結果に基づき建物への使用が可能になる。
乾式壁の遮音性能評価では、壁部材を構成する石こうボードや下地材、周辺支持材などを詳細にモデル化し、音を受けた壁部材の振動を有限要素法で解析する。その後、壁部材から放射される音を有限要素法と境界要素法で解析し、遮音性能を算出する。従来の実大実験では、1仕様の壁部材の試験に最低でも1カ月を要していたが、新システムは解析のみで評価が完了。実験と比較してコストは10分の1に、所要時間は8分の1に短縮できる。また、さまざまな材料の組み合わせによる建築部材の性能評価が容易になることで、設計の選択肢が広がる。
大成建設は、鉄筋コンクリート壁や乾式壁、窓ガラスなど複数種類の部材について、新システムによる数値解析での予測結果が、JIS規格に準拠した条件で測定した実験値と同等精度であることを確認している。
遮音性能に関するJIS規格では、さまざまな方向からの音の入射条件で性能評価を行うが、新システムでは斜入射による音響透過損失を評価し、特定方向からの音の入射に対する遮音性能を予測できる。これは、高層建物の近くに幹線道路や鉄道があり、音の入射角度により窓ガラスなどの部材の遮音性能が著しく低下するリスクがある場合などで、予測評価に有効だという。
今後は住宅やオフィス、工場など多様な建物で使用される建築部材の遮音性能予測に、新システムを積極的に適用していく。
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