伊藤忠商事とUBE三菱セメントは、CO2固定化技術を開発する豪州のMCi Carbonと協業する。MCiの炭酸塩化技術を利用した国内での製造プラント建設の検討や、事業化に向けた原料調達や販売などのサプライチェーン構築に取り組む。
伊藤忠商事とUBE三菱セメントは2025年1月29日、CO2固定化技術の研究開発を手掛ける豪州のMCi Carbonと協業すると発表した。3社は今後、MCiの炭酸塩化技術を利用したUBE三菱セメントの事業の低炭素化や、国内での製造プラント建設の検討、国内事業化に向けた原料調達や販売などのサプライチェーン構築に取り組む。
MCiは、廃コンクリートや鉄鋼スラグ、蛇紋岩などの鉱物にCO2を結合させ、セメント代替品やコンクリート原料として利用できる炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなど)を製造する技術を持つ。この技術を活用することで、CCU(CO2回収/利用技術)としてCO2排出量を削減できる他、廃コンクリートや鉄鋼スラグなどの有効活用も可能になる。
MCiは現在、2025年中の本格稼働を目指し、豪州ニューカッスルで炭酸塩製造実証プラントの建設を進めている。廃コンクリートや鉄鋼スラグなど複数の原材料と年間1000トン以上のCO2を処理可能で、商業プラント建設に向けた検証に使用する。2028年までに豪州で、年間5万トンのCO2を処理する世界最大規模の商業用プラントを稼働させる計画だ。
伊藤忠商事は2021年7月にMCiに出資し、国内企業と連携してMCi社の技術展開を支援してきた。また、UBE三菱セメントは今回、MCiに対し500万ドル(約7億7000万円)を出資。廃コンクリートやスラグと、セメント工場で排出されるCO2を有効活用し、高効率化かつ低コストに高品質な炭酸塩を製造できる実証規模の炭酸塩化技術を確立させるとしている。
また、炭酸塩をセメント混合材や新しい建設資材、他分野の新規高機能製品として利用する製品開発を進め、日本国内での事業化を検討する。3社による事業モデルの構築、マーケティングなどについても検討し、カーボンニュートラル事業の実現につなげていく。
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