安藤ハザマと三井三池製作所は、山岳トンネル工事の機械掘削工法向けに、ずり積込み機能を装備した「AI-ロードヘッダ」を共同開発した。掘削からずり出しまでの無人化を目指し、2025年度に実際の山岳トンネルで運用し、効果を確認する。
安藤ハザマは2025年2月28日、山岳トンネル統合型掘削管理システム「i-NATM(アイナトム)」開発の一環で、三井三池製作所と、機械掘削工法におけるずり積込み機能を装備した「AI-ロードヘッダ」を共同開発したと発表した。
山岳トンネル工事の切羽作業は危険性が高く、多くの工程で発生する粉じんによる健康被害も懸念される。特に機械掘削工法では重機オペレーターが長時間にわたり粉じん環境下で作業を行うため、作業の無人化は省力化だけでなく安全面と環境面からも重要とされている。
安藤ハザマと三井三池製作所は、機械掘削工法の自動掘削/遠隔掘削を実現するAI-ロードヘッダを開発し、2024年6月には国土交通省中部地方整備局発注の「令和3年度 中部縦貫坊方トンネル工事」での実証試験を実施。その有効性を確認した。
今回、AI-ロードヘッダによる作業の無人化への適応性を高めるため、新たに集土/排土の機能を付加した積込み機能付きAI-ロードヘッダを開発。掘削からずり出しまでの無人化を図る。
積込み機能付きAI-ロードヘッダは、機体に搭載したLiDARセンサーの測定値と機体位置の測量結果から坑内のマッピングを行い、作成したマップ上の現在地を推定。機体自身の位置と掘削対象の切羽面の位置を把握した上で、専用PCを使用して切削チップが配列された半球形のドラムの移動経路を生成し、自動掘削を実現する。暗闇の中でも目標を正確に認識して精密な掘削が行える。また、切削中の負荷に応じてドラムの速度を自動調整し、機械に最適な運転を行う機能も備えている。
さらに、遠隔地から移動、掘削、集土、排土といった一連の操作が可能。3Dモデルのロードヘッダが実機と連動する掘削アシストシステムにより、ヘッドの角度や機械姿勢をデジタルツインで遠隔操作室から詳細に把握できる。掘削土砂を搬出する集土装置/排土装置に加え、掘削土砂運搬機械との位置関係を簡易に調整するための回転式シュートも備えている。
電流電圧などの機械稼働状況や振動/温度などのセンサーデータは記録し、クラウド上にアップロードして可視化。効率的な自動掘削を実現するため、有人操作の動作記録も収集する。
積込み機能付きAI-ロードヘッダは、2025年度に実際の山岳トンネルで運用し、効果を確認する。切羽性状に合わせた作業員の掘削手順も記録し、自動掘削の高度化に生かす。
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