安藤ハザマは、ニシオティーアンドエムと共同で、山岳トンネル工事の吹付けコンクリートの自動施工技術を開発した。2024年度中に、自社が施工する山岳トンネル現場に適用する。
安藤ハザマは2024年11月20日、ニシオティーアンドエムと共同で、山岳トンネル工事の吹付けコンクリート自動施工技術を開発したと発表した。オペレーターが吹付け機本体のタブレットで簡単な操作をするだけで、吹付けコンクリートを自動で施工できる。
模擬トンネルを使用して新技術の実証試験を行い、吹付けコンクリートの「必要数量の算出」「自動施工」「施工後の厚さの特定」の一連の機能が想定通りに動作することを確認した。2024年度中に、自社で施工する山岳トンネル現場に適用する予定だ。
吹付けコンクリートの自動施工技術は「切羽出来形取得」「位置情報演算処理」「油圧制御」の3つのプログラムから成る。
切羽出来形取得プログラムは、吹付け機前方のLiDARで取得した切羽の3Dデータをもとに、吹付けコンクリートの必要数量を算出。また、施工前後の3Dデータの差分から吹付けコンクリートの厚さを特定し、出来形を確認する。
位置情報演算処理プログラムでは、切羽出来形取得プログラムで取得した3Dデータから施工範囲を選択し、吹付けノズルの自動施工ルートを算出する。このルートをもとにノズル先端の位置目標を決定し、角度と位置を制御する。
油圧制御プログラムは、位置情報演算処理プログラムで決定した吹付けノズル先端の位置目標をもとに、吹付け可能範囲を判定し、吹付けロボットの油圧制御を行う。油圧回路に比例電磁弁を追加し、コントローラーからの出力電流を可変させることで、アクチュエータの速度やストロークを制御する。
安藤ハザマは、ICTによる山岳トンネル工事の生産性/安全性向上を目指し「山岳トンネル統合型掘削管理システム(i-NATM)」を開発中だ。これまで、山岳トンネル工事の無人化に向けて「ドリルジャンボの遠隔操作技術」や「発破の高度化技術を活用した穿孔作業の完全自動化」などを実現した。今回の自動施工技術もこの取り組みの一環。
安藤ハザマは将来の山岳トンネル施工の完全無人化を目指し、引き続き技術開発を推進していく。
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