大和ハウス工業 上席執行役員 技術統括本部 副本部長 建設DX推進統括担当 河野宏氏は、DX施策の現況を報告した。
DXの取り組みは当初、2017年に「BIM推進室」が発足したことを皮切りに、BIM活用を中心にスタート。現在は「建設DX推進部」と名を変え、コンストラクション部門と、BIM部門に分業して全社のデジタル変革に挑んでいる。
施策としては建設プラットフォームを軸に据え、積極的にBIMなどのデータの活用と蓄積の両輪で取り組んできた。河野氏は「現在はデータを貯めるフェーズが進み、攻めの収益モデルの構築へと入った」とする。
大和ハウス工業は、建設DXを設計BIMからスタートし、施工、製造へと適用を順次拡大してデータベースに蓄積してきた。貯まったBIMデータをICT施工や遠隔管理へと生かし、さらに再度設計へとフィードバックしていく「デジタルループ」の構造を思い描く。「当社はプレハブメーカーとして、建築の工業化に取り組んできたが、BIMで改めて次世代の工業化を目指したい」と河野氏は語る。
設計段階では現在、BIMを用いて仕様セレクトツールやプレゼンゲートウェイ、標準詳細図一括抽出、一貫構造計算ソフト連携など多様なツールの導入が進み、「活用に濃淡はあるが、先行開発してきたものは80〜90%程度導入している」(河野氏)。
施工分野では、戸建て住宅や集合住宅の施工現場ではペーパーレスに向けた物件ポータルサイトの活用が80%を超え、時間短縮に向けたダッシュボード活用や工事写真アプリ、施工管理支援アプリなどが普及している。
定着の効果も出てきており、遠隔での映像を用いた施工管理は、戸建て住宅の約4200現場で92%が利用。IoT機器の利用率は、集合住宅の約2400となる施工現場の全てで活用されるなど、目に見えてデジタル化の定着が進んでいる。
今後の展開については、営業担当者が建物の原価を共通データベースに蓄積した情報からすぐに引き出せるシステムの整備に着手。同時に建設プラットフォームで蓄積したデータを川上から川下へと波及させていく仕組みも強化する。河野氏は「創業から続く『早く、良く、安く』の理念を大切にし、顧客にとって価値ある提案を目指したい。今まで蓄積したデータを活用していく時期に入ってきた」と意気込む。
大手ゼネコンの建設DX戦略:清水建設の中期DX戦略「“超建設”×DX」とデジタル化で外せない情報セキュリティ
導入事例:点検業務の電子化ツール「GENBAx点検」が西松建設に採用
産業動向:清水建設、DX推進で社長直轄組織設立へ 「デジタル活用人財」2000人超を育成
BIM:丸藤シートパイルが重仮設材BIMシステム「M-craft」開発 誰でも及第点の3Dモデル作成
大手ゼネコンの建設DX戦略:建設業の経営者は何をDXのゴールとすべきか?変革の本質や苦労話をゼネコン4社が徹底討論
産業動向:高砂熱学とAutodeskが戦略的提携を再締結 BIMを中核に業務プロセス全体を変革Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10