JR東日本は、浜松町駅から大井町駅間の「広域品川圏」で、国際都市TOKYOの未来を拓く都市開発の方向性として共創型都市エリア戦略を打ち出した。各駅と街の開発を点ではなく、エリアで捉え、2030年代半ばまでにはグループ保有ビルの床面積約150万平方メートル、営業収益約1000億円超/年の事業展開を構想する。
東日本旅客鉄道(JR東日本)は2025年10月7日、浜松町駅から大井町駅間の東京南エリアを「広域品川圏(Greater Shinagawa)」と位置付け、エリア一体で国際都市東京の新たな魅力や価値向上(バリューアップ)を創出する「共創型都市エリア戦略」を発表した。
2026年3月28日に、国際交流拠点「TAKANAWA GATEWAY CITY」のグランドオープンと都市生活共創拠点「OIMACHI TRACKS」が街びらきし、「広域品川圏」の共創街づくりが本格始動する。
広域品川圏は、駅と街を点ではなくエリア一体で捉え、2030年代半ばまでにはグループ保有ビルの床面積約150万平方メートル、年間の営業収益約1000億円超の事業規模までの拡大を見据える。
東京南エリアは、羽田空港の国際化やリニア中央新幹線の整備、羽田アクセス線(仮称)東山手ルートの開通などで、さらなる交通基盤の進化が計画され、国際都市東京のグローバルビジネスゲートウェイとしての役割が期待される。
都市戦略のベースは、各駅と街をつなぐモビリティー(鉄道、オンデマンド交通、水運、空飛ぶクルマ)に加え、生活のデバイスに進化する「Suica」を駅や街と顧客をつなぐプラットフォームとして整備することにある。現在の鉄道などの移動や決済機能だけでなく、マイナンバーカード連携や生体認証でセキュリティゲート適用範囲を拡大。移動データを活用した生活の利便性につながるレコメンド機能やチケッティングサービスの拡充など、「Suica ID番号」があれば、シームレスな移動や生活ができる「LX(ライフスタイルトランスフォーメーション)」を実現し、心豊かなくらしの提供につなげる。
2026年春からは、「高輪ゲートウェイ」駅と「大井町」駅で、ウォークスルー改札の通路を体験できる。2027年春には、広域品川圏5駅でウォークスルー改札の実証実験を行う。その先の2028年度には、JR東日本グループならではの鉄道と各種サービス(コーヒー、STATION BOOTHなど)を一体で利用できるサブスク商品を展開する。
TAKANAWA GATEWAY CITYは、広域品川圏の中核を担う都市として、「人財/叡智(えいち)」「医療」「水素/GX」の3つを軸に、「地球益」の実現に向けたイノベーションを展開し、100年先の心豊かなくらしを創造する。TAKANAWA GATEWAY CITYにとどまらず、広域品川圏全体を展開フィールドと捉え、地域一体となって未来社会を構築する。
サステナブルの観点では、JR東日本グループは「ゼロカーボン・チャレンジ2050」を掲げ、2050年度までにCO2排出量の実質ゼロを目標としている。広域品川圏では、省エネや創エネ、エネルギーマネジメントを通じて、持続可能なまちづくりを推進し、コージェネレーションや高効率設備の導入、水素活用に取り組む。関連会社のJバイオフードリサイクルやJサーキュラーシステムと連携し、JR東日本グループが主体的に運営する施設から排出する廃棄物を100%資源化する“サーキュラーエコノミー”も視野に入れる。
また、充実した夜の時間を過ごせる「ナイトタイムエコノミーエリア」を整備。ナイトライフ施設や圧倒的なアセット群を舞台に、このエリアの魅力的な景観や周辺の施設事業者などとも連携し、歌舞伎をモチーフとした東京ならではの「和」「伝統とモダンの融合」や「アニメ/ポップカルチャー」など、夜間のユニーク体験ができるエリアブランドを構築する。
賑わいの創出では、合計約5万平方メートル(東京ドーム1個分)を超える広場空間を設置し、広場を一体活用した都市型文化フェス“Tokyo culture week(仮称)”、広場空間や水辺空間を光で彩る“stella week(仮称)”などのビッグイベントを開催する。
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