既存建築物の省エネ改修効果を設計前に診断、大成建設が「ZEBリノベ@診断」の運用開始ZEB

大成建設は、建築物の改修後の省エネ性能を設計前の段階で評価して、リニューアルによるZEB化の可能性を短期間で診断できるツール「ZEBリノベ@診断」を開発し、建築物リニューアルの初期診断業務で運用を開始した。

» 2024年12月10日 19時00分 公開
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 大成建設は2024年12月6日、既存建築物の省エネ改修診断ツール「ZEBリノベ@診断」を開発し、建築物リニューアルの初期診断業務で運用を開始したと発表した。

 ZEBリノベ@診断は、建築物の改修後の省エネ性能を設計前の段階で評価し、リニューアルによるZEB化の可能性を短期間で診断する。建築物の特性に応じた最適な省エネ改修項目を選定可能で、これを基に改修後の省エネ性能を事前に把握するとともに、ランニングコストやCO2排出量の削減効果をあらかじめ推定できる。

ZEBリノベ@診断 ZEBリノベ@診断 出典:大成建設プレスリリース

 既存建築物の省エネ改修は、建築物の立地条件や形状、用途など前提条件が大きく異なるため、特性に応じた改修方法の選択、コストと省エネ効果とのバランスなどの検討項目が多岐にわたる。建築物の規模などにも影響を受けるため、最適な提案の作成には数カ月かかるなど、相応の時間を要することが課題となっていた。

 ZEBリノベ@診断は、既存建築物の改修後の省エネ性能評価とZEB化の可能性診断を短期間で行える改修計画/設計支援ツールだ。既存建築物の形状や方位、窓の位置、空調設備機器の配置や更新状況、入居テナントや利用者の快適性など、個々の建築物の特性に合わせた省エネ改修項目を短期間で選定。選定した改修項目は、Webプログラムを利用してエネルギー消費量をBPIとBEIにより数値化し、改修工事実施後の省エネ性能を予測する。この結果をもとに、ZEB化の可能性を診断する。

 過去の設備更新や修繕履歴が不明で、竣工図や改修図、設備図などの図面が一部不足している場合でも、省エネ改修メニューの検討やZEB化の可能性診断を実施できる。また、改修によるランニングコスト低減とCO2排出量削減の概略値を試算し、経済的なメリットと脱炭素への貢献度合いを設計・施工の前に把握可能だ。過去のエネルギーデータがある場合は、改修工事による効果をさらに高い精度で試算できる。

 初期診断業務では、改修後の省エネ性能の算出に加え、建築/設備工事費算出の参考として、建築工事での断熱窓への更新と壁や屋根への断熱付加、設備工事での高効率空調設備や高効率LED照明器具への更新、照明制御設備の追加などに関する工事数量も自動で算出する。

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