住宅2025年問題を構造見直しで解決する新コストダウンシステム、ナック：産業動向

ナックは、構造を見直すことで住宅のコストダウンを図るシステム「Logical and Simple System」の提供を開始した。住宅商品は、最小910万円の規格住宅「Resistyle」シリーズと注文住宅の2種で構成する。

[BUILT]

　ナックは2024年12月3日、住宅構造を見直すことでコストダウンを図るシステム「Logical and Simple System（LSS）」の提供を開始した。LSSを活用した住宅商品は、福井県福井市の水元工務店との提携で規格住宅「Resistyle（レジスタイル）」シリーズと注文住宅の2種で構成する。

住宅2025年問題を「社会性」「経済性」「革新性」で解消

住宅コストダウンシステム「Logical and Simple System」　出典：THIRDプレスリリース

　LSSは、「社会性」「経済性」「革新性」の3点を満たすシステムとして開発した。社会性は、2025年問題（住宅価格高騰）解決のための一手として住宅の実行予算を下げ、無駄な部資材を省略できる点にある。経済性では、戸建て住宅を諦めていたユーザーに手の届きやすい住宅を供給。革新性は、耐震等級3とローコストのトレードオフの関係を網羅的に解決する。業者交渉なども不要となり、一定のルールに則ったプランニングを行うことでコストダウンが実現する。そのため、LSSのノウハウを活用した性能と価格を両立させた住宅を多くのユーザーに提案することが可能になる。

　LSSを適用した規格住宅のResistyleシリーズは専用の制震ダンパーを採用し、耐震等級は3。地震や強風による揺れを吸収し、建物や構造体への損傷を軽減する。自社で開発しなくとも、総2階や一部2階、2階LDK、創エネ、平屋の住宅を910万円（税込み）〜で提供可能になる。

　プランのテンプレートは、既に構造計算済みで改めて計算する必要がなく、余分なコストや建築期間の省略につながる。注文住宅はテンプレートで使えるグリッドデータを用意し、容易にカスタマイズしたプランを作成可能だ。

LSSを用いた規格住宅「Resistyle」シリーズと注文住宅　出典：THIRDプレスリリース

　住宅業界2025年問題の1つで2025年4月に施行する「建築基準法第6条第1項第4号特例の縮小」に伴い、住宅の新築／リフォームの確認申請の厳格化が取り沙汰されている。これまで比較的規模が小さな住宅は手続きを一部簡略化する傾向があったが、2025年4月からは構造や省エネ関係の書類も提出が義務化される。そのため、多くの住宅会社では対応するための手間やコストがさらに発生。終わりの見えない住宅価格高騰にさらに拍車がかかることが予想され、住宅会社の利益圧迫や住宅価格上昇による消費者の住宅取得への影響も懸念されている。

　ナックは構造計算済みの規格住宅やプランのテンプレートを活用することで、申請に要する手間やコストを削減し、「住宅価格高騰」という社会課題の解決を目指している。