鉄建建設とIHI建材工業は、大阪府吹田市発注の下水道管渠整備工事において、セメント不使用でCO2排出量を削減する「ジオポリマーコンクリート」を、シールドセグメントに初適用した。
鉄建建設は2024年11月5日、IHI建材工業(IKK)と共同で、大阪府吹田市発注の下水道管渠(かんきょ)整備工事で、ジオポリマーコンクリート「セメノン」をシールドセグメントに初適用したと発表した。セメノンはIKK茨城工場で製造。セメントを使わないため、従来のセメントコンクリートと比べて、CO2排出量を最大80%削減できる。
実工事への適用にあたっては、通常セグメントと同様の製品検査を実施し、従来コンクリートと同等以上の性能を確認した。両社の調べによると、ジオポリマーコンクリートを使用したセグメントをシールド工事に適用するのは国内で初めて。
ジオポリマーコンクリートは、メタカオリンやフライアッシュなどの活性フィラーと、水ガラスなどのアルカリシリカ溶液で生成される固化体。セメノンは、アルカリ活性材料のうち、カルシウム成分をほとんど含まない純粋なジオポリマーに分類される。従来コンクリートと比べて約15倍の耐酸性、約5倍の透水抵抗性、1.2倍の耐摩耗性を有しており、下水道関連施設などの酸性環境下でも長寿命化を実現。維持管理費などのコストを低減する。
両社は現在、外径3100ミリのセグメントモックアップを鉄建建設の建設技術総合センターに設置し、自然環境下での性能試験と長期耐久試験を行っている。今後はセメノンを下水道の汚泥ピットや貯留管など耐腐食性能が要求される構造物に対し、積極的に提案していく方針だ。
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