五洋建設とACSLは、3D LiDARとLTE通信機能を搭載したドローンによる船舶土量の積載土量を算出するシステムを開発した。既に横浜港本牧地区防波堤築造工事で実証試験を行い、検収時間が20分から5分に短縮し、6人から1人の省人化も実証されたという。
五洋建設と国産ドローンメーカーのACSLは、3D LiDARとLTE通信機能を搭載したドローン「Penta-Ocean Vanguard-DroneLiDAR(POV-DL)」によるリアルタイム船舶土量検収システムを2024年5月に開発したと公表した。
新システムでは、陸上の職員1人がPOV-DLを土砂運搬船の上空まで飛行させて、光学カメラで積載状況を写真撮影し、3D LiDARで船倉内の積載形状を5秒間計測するだけで、積載土量を算出し、帳票も自動で作成できる。
防波堤や岸壁などの築造工事などでは、工事数量を管理するために土砂運搬船ごとに石材や砂材などの積載量を検収する必要がある。
これまでは、土砂運搬船上で元請職員が4〜6人の作業員とともに、スタッフやリボンテープを用いて検収していたために約20分を要していた。さらに帳票は事務所に戻ってから作成する必要があった。土砂運搬船が沖合にいる場合は、元請職員は交通船で往復移動し、検収に1時間以上を要するケースもあるため、検収作業の負荷軽減が求められていた。
リアルタイム船舶土量検収システムでは3D LiDARによる点群データから積載土量をクラウド上で算出して帳票作成するアルゴリズムを構築し、波の影響で揺れる土砂運搬船でも安定して計測できるように、SLAM技術と組み合わせたシステムとした。
また、2020年12月に電波法で制度整備※された上空でのLTE通信機能を利用し、POV-DLの帰還を待たずに直ちに計測データをクラウドに伝送する機能を搭載している。そのため、POV-DLによる計測データの取得から、クラウドへの伝送や保存、積載土量の算出、帳票作成までの一連の検収作業をシステム化に成功した。
※電波法で制度整備:2020年12月電波法の制度整備に伴い、高度150メートル未満の空域で、簡素化した手続きで一定の条件に合致する携帯電話などの端末が無人航空機で利用可能となった
横浜港本牧地区防波堤築造工事での実証試験では、土砂運搬船(積載量約2100立方メートル)の土量検収に要した時間は20分から5分となり、人員は6人から1人に削減し、大幅な生産性の向上に寄与すると確認した。また、検収作業の負荷軽減に貢献するだけでなく、土砂運搬船の待機時間を削減するため、土砂投入工事の効率化にもつながる。
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