ワールドスキャンプロジェクトと九州大学 浅海底フロンティア研究センターは、能登半島地震後初となる3次元地形調査を実施した。調査は浅い海底を対象に、新型磁力センサーで3D地形データを取得した。
ワールドスキャンプロジェクト(WSP)と九州大学 浅海底フロンティア研究センター センター長 菅浩伸氏らの共同研究チームは、令和6年(2024年)能登半島地震による沿岸浅海域の地形変化に対し、新型磁力センサー「JIKAI(ジカイ)」を用いた3次元地形調査を2024年4月27日〜5月5日に行った。
2024年1月に発生した能登半島地震により、能登半島北岸は大きく隆起したが、これまでの海域調査では、沿岸の浅い海域で3次元地形調査は行われていなかった。
WSPと菅氏らの共同研究グループは、能登半島地震後初めてとなる沿岸浅海域の3次元地形調査を開始し、マルチビーム音響測深機を用いた沿岸浅海底地形の詳細な3次元地形データの取得に成功。取得した地形データを解析し、能登半島地震で新たにできた可能性がある高低差3〜4メートルの海底段差を確認した。
共同研究チームは、地形学を専門とする菅氏の他、災害地形学を研究している金沢大学 准教授 青木賢人氏、変動地形学の専門家として広島大学 教授 後藤秀昭氏。調査場所は、輪島港周辺の航路や漁場をはじめ、名舟海岸沖、竜ケ崎と大尖岩の間、大谷町/片岩町の沖のそれぞれ活断層を探査した。
調査に使用したJIKAIは、磁界の存在を検出し、磁場の強度と方向を測定して深海や地中に眠る金属を探知するリモートセンサー。重さは約1キロのため、小型ドローンにも搭載可能で、姿勢変化に強い特許出願済みの検出技術を採用している。
模擬試験では、磁化された直径20ミリ、長さ0.5メートルの鉄棒(500ポンド爆弾相当)を探索し、従来製品は7メートルの検知距離だったところ、20メートル以上の検知距離を達成。水深1000メートルの観測にも成功しており、地球最深部調査にも対応する。ワールドスキャンプロジェクトは、JIKAIを2025年度にも量産化を目指している。
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