鹿島建設は、企業や自治体向けに、森林内の自律飛行が可能なドローンを活用して、森林づくりの計画提案から森林経営、活用支援までをトータルで支援するサービスの提供を開始した。
鹿島建設は2024年6月21日、森林内の自律飛行が可能なドローンを使用して取得した森林上空と森林内のデータを解析し、樹種ごとのボリュームや位置、樹高などを点群データ化して評価する技術を開発したと発表した。
鹿島建設では新技術を活用し、企業や自治体向けに、森林づくりの計画提案から森林経営、活用支援までをトータルで支援するサービス「Forest Asset(フォレストアセット)」の提供を開始した。
鹿島建設は2022年4月から、国際的なネーチャーポジティブの潮流を踏まえ、企業などの持続可能な森林づくり支援を目的に、森林管理や森林づくりにおける生産性や付加価値を向上させるForest Assetの開発を進めてきた。
今回開発したサービスは、名古屋大学と共同で研究開発した点群データ解析技術と、スウェーデンのDeep Forestry製の森林内自律飛行ドローンを活用した高精度データ化技術の2つの技術を核とする。
1つ目の技術は、上空からドローンで取得した森林の点群データ情報を解析し、材積(木材の体積)や樹種、樹高、立木位置、胸高直径を推定する。2つ目は、上空からではなく、森林内をドローンが自律飛行し、レーザー計測により森林内の複雑な地形をデータ化する。人手では1日当たり約0.1〜0.3ヘクタールが限界だった計測可能範囲が、1日当たり約10ヘクタールまで拡大し、30倍以上の省力化が期待できる。
また、上空/森林内で得られた点群データを連携させることで、広範囲にわたる樹種ごとのボリュームの把握や、樹木1本ずつの位置や樹高といった詳細な情報をデジタル空間上で高精度かつ立体的に可視化する。
さらに、鹿島建設がこれまで実施してきた、希少動物の生育環境調査などの自然環境調査技術と組み合わせることで、生物多様性や森林の水源涵養機能の向上など、森林が持つ潜在的な付加価値を最大化するプランを立案して、国の認証クレジット制度「J-クレジット」や、自然共生サイト認定の申請などに役立てる。
2024年5月には、Forest Asset提供第1弾として、三井住友銀行が神奈川県伊勢原市日向地区で認証を目指すOECM(Other Effective area based Conservation Measures)の事前調査に、Forest Assetの一部技術を導入し、有用性が確認された。
また、グループ会社のかたばみと連携し、鹿島建設グループが保有する全国約5500ヘクタールの社有林のうち、福島県と宮崎県の約170ヘクタールを対象に、森林内自律飛行ドローンを活用し、J-クレジット制度に申請した。
鹿島建設は今後、Forest Assetを新たな事業の1つと位置付け、森林を保有管理する企業や自治体の持続可能な森林経営を積極的に支援していく。
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