鹿島建設は、建物の脱炭素化をライフサイクル全体で総合的に支援するシステムを構築した。基本計画から運用まで、各段階におけるCO2排出量削減をより体系的に推進する。
鹿島建設は2024年6月19日、建物の脱炭素化をライフサイクル全体で総合的に支援するシステム「K-ZeX(Kajima-net Zero X、ケーゼックス)」を構築したと発表した。建物のライフサイクル全体での脱炭素ソリューションを提供し、企業の脱炭素化をトータルでコーディネートする。
K-ZeXの主な特徴は、(1)基本計画の段階からZEB設計を支援する鹿島建設独自の「ZEBコンセプトツール」の活用、(2)建物の外装や設備などに関する詳細仕様のパラメータスタディーが可能な「ZEBデザインツール」によるZEB設計の深化、(3)施工や運用時のCO2排出量可視化、(4)建物の運用データの次の設計へのフィードバックの4点。
ZEBコンセプトツールは、企画、基本計画を行う設計の超初期段階で、建物の用途や規模に応じて、目標とするZEBランク達成に必要な建物の形状や外壁、窓の比率や大きさ、空調/照明設備などの基本仕様を検討できる。検討中の建物の諸条件をもとに達成可能なZEBランクを簡易判定可能で、建物の脱炭素化に必要な設計をアシストする。
ZEBデザインツールは、ZEBランクに大きな影響を与える建物の外装や空調、照明、給湯設備などの詳細仕様のパラメータスタディーが可能だ。建築モデルをBIMやPDFデータから作成でき、設計プロセスに応じた効率的なデータ入力に対応する。ZEB認証に必要な省エネ性能の計算指標「BEI(Building Energy Index)」と、PAL(外皮基準の指標)により算出される年間熱負荷の基準「BPI(Building Palstar Index)」の計算結果をグラフで分かりやすく表示し、ZEB設計に必要な時間を大幅に短縮する。
また、CO2排出量について、建設資材の製造/運搬/施工時に発生するCO2排出量(アップフロントカーボン)は鹿島建設が独自開発した「建設時CO2排出量算定システム」と連携して、建物が実際に運用されている間に発生するCO2排出量(オペレーショナルカーボン)はグループ会社の鹿島建物総合管理と共同開発したエネルギーレポート「KAJIMA Building Energy Letter」と連携して、可視化する。
さらに、建物運用データの管理プラットフォームを構築し、鹿島が保有する建物と鹿島建物が管理する建物のエネルギー消費データを分析する。分析結果を同システムのダッシュボード上で、次の設計プロセスにフィードバックすることで、より高度な脱炭素設計を推進する。
今後は、新システムの提案を進め、企業の脱炭素化ニーズに対応していく。
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