鹿島建設は、建設現場の固定カメラの映像を画像AIを活用して解析し、作業に関わる技能者の人数と作業時間を把握できるシステムを開発した。工事出来高との連携により、歩掛りを正確に自動算出する。
鹿島建設は2024年2月29日、画像AI(人工知能)と独自の解析アルゴリズムにより、指定した作業エリア内の技能者の人数と作業時間を、リアルタイムに自動で把握するシステムを開発したと発表した。工事出来高と連携させることで、正確な歩掛り(ぶがかり)とその変動を瞬時に算出する。
鹿島建設は、新システムを橋梁(きょうりょう)の建設現場に導入し、効果を実証した。これまで複数の調査担当者の作業立ち会いのもと記録していた歩掛り調査が無人化でき、さらなる生産性の向上につながるとしている。
今後は、橋梁以外の現場にも展開し、現場の見える化を通じて建設現場の省人化や安全性向上を図る。
今回開発したシステムは、建設現場に常設する固定カメラの映像から、画像AIを活用した鹿島建設独自の解析アルゴリズムにより、作業に関わる技能者の人数と作業時間を可視化する。
作業エリアの撮影状況を示す確認画面では、画像AIが認識/検出した技能者を赤枠で、技能者数のカウントを行う作業エリアを青枠で表示する。死角があるなど1台のカメラで作業エリアをカバーできない場合は複数台のカメラを連携してカバーする。異なるカメラに同一技能者が映った場合は、AIが自動で識別判定し、技能者の正確な人数を割り出す。
解析は分単位で実行し、指定した作業エリア内の技能者の延べ作業時間を正確に計測する。作業期間を指定し工事出来高と連携することで、歩掛りの自動算出が可能だ。
運用にあたっては、技能者は測位のための発信機などを所持することなく、市販のカメラをそのまま流用できる。また、カメラ映像と画像解析結果は社内のクラウドサーバー上に自動保存されるため、本社や支店などでも確認ができる。
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