まず、進捗管理では、現場の工事状況を職人がスマホで撮影し、画像をLINEで現場監督に送るようにした。画像を受け取った現場監督はPCにダウンロードした後、Google ドライブにアップロードして関係者と共有する。当摩氏は、「業務用アプリに抵抗感があった職人でも、スマホで使うGoogleのサービスに拒否感はなかった」と振り返る。
熊澤建装は塗装を中心に多くの工事を手掛け、約1万件の工事実績があるが、従来はしっかりとした現場管理が行われていなかった。現在では、現場監督が現場ごとにLINEでグループを作り、連絡/報告や現場写真などを管理し、常に施工状況が見えるようになった。工事状況の共有も、Google MeetのWeb会議で、担当営業も交えたリアルタイムでやりとりしている。
当摩氏は、LINEとGoogle ドライブを使った仕組みによって生産性が大きく向上したと語る。現場の施工状況が、日々Google ドライブで共有されるため、進捗の把握や問題箇所を発見しやすい。毎日の工事経過が手に取るように分かり、検査も効率的に行えるし、もし是正が必要な箇所があっても、即座に対処できる。施工状況は、施主や不動産管理会社などの工事関係者にも公開し、信頼感の醸成にもつながげている。
現在は、修繕図面のデジタル化に取り組み、野帳の代わりとなる現地調査の記録をデジタル化するクラウドシステム「Surveynote(サーベイノート)」を導入した。図面をスキャンしてiPadに取り込み、野帳としてタッチ操作で図面上に損傷箇所を入力する。当摩氏は、Surveynoteを「安価で、機能がシンプル。現場で使えるシステムは使い勝手が良い」と評価する。
熊澤建装が現場DXとして見い出したLINEやGoogle ドライブなどの無料や安価に使えるサービスを組み合わせた業務改善のスタイルは、アイデア次第で可能性が広がることを示している。現在、熊澤建装では建設会社のみならず、不動産や店舗などの会社と協力し、業務を効率化するシステムを開発中だという。
当摩氏は、「熊澤建装はただの建築屋ではない。外壁塗装や防水工事の高い技術力に加え、DXにも強みを持って、顧客に寄り添う会社とし、3年以内に売上3倍を目指したい」と抱負を述べた。
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