NTTコミュニケーションズ スマートワークサイト推進室 主査 池ノ上佳嗣氏は、StarlinkとPicoCELA、独自のクラウドに関して、「映像のズレ(ディレイ)は、通常1秒以内でなければ遠隔操縦には使えないとされているが、今回の機器構成であれば約0.3秒で収まる。Starlinkの日本全土をカバーした低遅延の映像伝送により、どこにいても高い操作性が可能になる。通信環境の構築も、PicoCELAは本体以外にLANケーブルが必要なく、配線を極小化できるため、LAN配線の敷設コストと時間短縮につながり、全体で2〜3時間程度で開通する。また、操作回りはクラウドなので、将来は複数現場の管理も見込める」と説明する。
小野氏は今後の事業展開を「建設現場は危険な作業を伴うため、建機オペレーターを物理的に現場から離すことで安全確保がもたらされる。建設業の人手不足に対しても、現場の省人化、将来の自動化による無人化も見込め、業界の課題解決に貢献する。建設現場に限らず、いま相談を受けている工場の中で同じルートで走るトラック輸送の自動化など、製造や物流、鉄道、航空といった他産業にも広げ、2〜3年後には数億円を超えるビジネスに育てたい」と展望を明かす。
白久氏はこれからの建機の遠隔操縦/自動化のポイントとして、「(土木工事がメインの)公共工事に適用していく上で、国の指針は重要になる」と指摘し、自身もサブワーキンググループに参画している国土交通省の「建設機械施工の自動化・自律化協議会」が2024年3月に公表した「自動施工における安全ルール Ver.1.0」に言及。「この先の1年間で安全ルールに基づきモデル工事を試行し、Ver.2.0にアップデートする見通しで、公共工事に適用していく上で重要な指針となるだろう」と補足した。
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