排出ガス規制に適合したエンジン搭載の60t吊り自走式クレーン、加藤製作所GX建機

加藤製作所は、最新の欧州排出ガス規制(EU Stage V)に適合した環境配慮の新エンジンを搭載した60トン吊りの自走式クレーンを発売した。価格は8600万円で、年間100台の販売目標を掲げる。

» 2024年06月06日 07時00分 公開
[BUILT]

 加藤製作所は、環境に配慮した新エンジンを搭載した60トン吊(つ)りラフテレーンクレーン「SL-600RfIII」を2024年4月に発売した。

最新の排出ガス規制(EU Stage V)に適合した新エンジン搭載

 SL-600RfIIIは、旧モデルSL-600RfIIの各種性能を継承し、高いクレーン性能とジブ仕様、作業の効率と快適性、安全性向上を実現しながら環境に配慮したラフテレーンクレーンとなる。

新エンジンを搭載した60トン吊りラフテレーンクレーン「SL-600RfIII」 新エンジンを搭載した60トン吊りラフテレーンクレーン「SL-600RfIII」 出典:加藤製作所プレスリリース

 スペックの主な特徴では、欧州で移動機械のエンジンに対する新しい排出ガス規制(通称:EU Stage V)に適合したカミンズ製エンジンを採用している。ECOスイッチも装備し、クレーン操作時のエンジン最大回転数を抑え、燃料消費と騒音の少ない最適な作業回転数に調整する。さらにオートミニマムコントロールで、クレーン作業待機時に油圧ポンプ吐出量を最小限に制御して、燃費の効率化につながる。

 ブーム吊上げ能力は、最大吊上げ能力は60トン、最大ブーム長さは40メートル、最大作業半径は37メートル、最大地上揚程41.1メートル。ブーム伸縮モードを2種類設定でき、強度域性能に優れるモードAは、2段ブーム伸長で、3、4、5段ブーム伸長。安定域性能に優れるモードBは、3、4、5段ブーム伸長で2段ブーム伸長し、作業状況に合わせて柔軟に対応する。

 無線式の吊荷監視カメラは、ブーム先端部やジブ先端部からの電源供給で、バッテリーは必要としない。バッテリーの充電や取り付け作業も不要となる。

 環境配慮面ではエンジン以外にも、騒音を相当程度軽減し、国土交通省の「低騒音型建設機械」の指定を取得した。また、オフロード法排出ガス2014年基準に適合するホイールクレーンで、一定の燃費基準を達成した建機を認定する国交省の「2020年燃費基準達成建設機械」も申請している。

 安全機能は、超音波センサーによる障害物の検知機能で、走行中の安全性向上に寄与する。安全用カメラ3台を装着し、人検知時、視覚、聴覚の警告で注意を喚起する。

 操縦席のモニターは12.1インチ縦型で、キャリヤの前後左右に装着した6つのカメラの画像を合成した車両上面から俯瞰した画像も含め、オペレーターが任意に設定した複数の画像を表示できる。タッチパネルのアイコンも大きく表示し、視認性や操作性に優れる。

 SL-600RfIIIの標準小売価格は、8600万円(税別、販売価格は装備などで異なる)。加藤製作所は年間100台の販売目標を掲げている。

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