改正法では、労働者の処遇確保を建設業者の努力義務とし、国が取り組み状況を調査、公表し、中央建設業審議会(中建審)へ報告することとした。中建審は、労務費の確保と下請事業者までの行き渡りに向けて「労務費の基準」を作成、勧告した上で、受注者と発注者の両方に対し、著しく低い労務費などによる見積もり書の作成や変更依頼を禁止。違反発注者には国土交通大臣などが勧告、公表する。また、受注者である建設業者に対しても、不当に低い請負代金による契約締結を禁止する。
また、契約前のルールとして、請負代金や工期に影響を与える資材高騰などのリスクの情報は、請負契約の締結までに、受注者から発注者へ通知するよう義務化する。さらに、資材価格変動時の請負代金などの「変更方法」を、契約書の記載事項として明確化する。
契約後のルールでは発注者に対し、実際に資材価格が高騰して受注者が契約変更協議を申し出た際に、誠実に協議に応じることを努力義務化。公共工事の発注者には、誠実に協議に応じる義務を課す。
労働者の長時間労働を抑制するための対策として、工期ダンピング対策を強化し、受注者に対しても著しく短い工期による契約締結を禁止する。また、ICT活用による生産性向上を図るため、遠隔通信といったICT活用などを要件に現場技術者にかかる専任義務を合理化する。また、公共工事での施工体制台帳の提出義務について、ICT活用で施工体制を確認できれば台帳の提出を省略できる措置を講じる。
これに加え、ICT活用による現場管理の指針を国が作成し、特定建設業者や公共工事受注者に対して効率的な現場管理を努力義務化する。具体的には、タブレット端末を利用した発注者、元請け、下請け間での、設計図や写真のデータ共有などを想定している。
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