前田建設工業は、シールドトンネル工事の施工データを収集するプラットフォーム「MAIOSS-II」を開発した。社内の統一規格として導入を開始し、今後は全現場のデータをAIに活用することで、より精緻な分析や熟練技術の自動化を図る。
前田建設工業は2024年3月29日、シールドトンネル工事現場の施工データを収集するプラットフォーム「MAIOSS(Multi Artificial Integrated Operator System for Shield)-II」を開発し、社内の統一規格として導入を開始したと発表した。現在は大口径から中小口径まで5現場に導入しており、今後、全現場のデータをAIに活用することで、より精緻な分析や熟練技術の自動化を図り、シールド自動化に向けた「シールドDX」を推進する。
MAIOSS-IIは、運転制御、品質管理、物流、安全/環境、トラブル防止の5種類で構成し、工事中の機械類の動作や応答値、資材/掘削土の物流、人の動きなどの多様なデータを取得、蓄積する。データプラットフォームの統一により、データの使い方などの技術をツール化して全現場で共有可能になる。
シールド工事は山岳トンネルと異なり、切羽状況が見えない工種だ。そのため、センサーなどから数値化されたデータを取得して掘進の状況を読み解く方法が一般的とされている。データの使い方は熟練技術者の経験や知識により精錬されてきたが、技術者不足の深刻化で、こうした技術を円滑に伝承できる手法が求められている。前田建設工業は、現場の経験や知識を今後に活用、伝承していくため、全社で共通して使用できるデータプラットフォームとしてMAIOSS-IIを導入した。
MAIOSS-IIのデータを活用することで、地表面沈下や変状などの工事による周辺環境への影響の予兆を複数のデータから高い確度で早期に発見できる。また、自動化や省人化を推進し、少子化、熟練技術者の高齢化などによる担い手不足にも対応。建設現場の生産性向上とAI化、精度向上が実現する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.