前田建設工業など3社は、360度撮影可能なデジタルカメラとBIMを活用した配筋検査システムを開発した。新技術を活用することで撮影にかかる時間を約8割削減できる。
前田建設工業、ピクシーダストテクノロジーズ、アクセンチュアの3社は2024年2月19日、360度撮影可能なデジタルカメラで建設現場の動画を撮影し、動画とBIMを重ね合わせたデータ上で対象物を測距(そっきょ)した静止画を切り出す技術を活用し、配筋検査システムを開発/構築したと発表した。前田建設工業は2024年4月をめどに、社内で新技術の全国展開を目指す。
配筋検査の現場試験では、360度動画とBIMを重ね合わせて、鉄筋の本数や位置が適切か、かぶり厚さが確保されているかなどを確認。従来の方法と比較して、撮影時間を約8割削減した。
新技術は、360度動画とBIMの座標をそろえる技術により、現場の床に出した基準墨などに沿ってマークを設置し、BIM上にもこの位置を設定することで、360度動画に3Dモデルの重ね合わせを実現した。 重ね合わせ映像の中に仮想のスケールを配置し、画面上の任意の位置での目視検査も可能だ。短時間のレクチャーで誰でも撮影でき、また、動画であるため各部材の全体像を連続して記録できる。
社内だけではなく、建設業全体で広く普及させるため、撮影機材は民生品をベースにしており、ソフトウェアの外販も検討している。
一方で、活用に向けては課題もあるという。工事管理の現行制度では、工事記録の写真は現場で撮影した静止画であることが求められ、証憑(しょうひょう)として適切に記録管理する必要がある。工事写真の「撮影方法」の解釈はフィルムカメラ時代から変わっていない。しかし、360度動画から静止画を切り出すことが「撮影方法」として是認されれば、新技術を採用でき、撮影の手間を大幅に削減できる。
前田建設工業では、「撮影方法」の解釈見直しがあれば、新技術を工事記録方法として活用する方針だ。
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