東洋建設と大成ロテック、フェクトは、ガラス質膜塗装を港湾コンクリート構造物に用いる新たな高機能型塗装を開発した。高機能型塗装は、被膜層をコンクリート表面に形成し、塩害などから構造物を守り、無色透明のため、目視点検で変状を早期に発見できる利点がある。
東洋建設は2024年3月14日、大成ロテック、フェクトと、これまで陸上の鉄筋コンクリート構造物で施工実績のあるガラス質膜塗装を、港湾の鉄筋コンクリート構造物へ適合させた高機能型塗装「ワンダーコーティングシステム W-MG(マリンガード)」を開発したと発表した。
高機能型塗料は、遮塩性や遮気性、遮水性に優れ、被膜層をコンクリート表面に形成することで、塩害などの著しい腐食環境下にある港湾構造物を保護する。ひび割れ追従性と耐候性も確認済みの塗装材のため、長期的な保護効果が期待される。
塗料としての基本性能を有したうえで、無色透明で長期的に透明度を維持するので、維持管理の目視点検や診断、性能低下度の評価、維持/補修のサイクルの中で、塗布後もコンクリート表面の劣化状況や変状の進行を早期に発見できる。
塗装の作業工程は、一般的にプライマー、下塗り、中塗り、上塗りの4工程(4日)だが、塗り重ね時間が短く、プライマーと上塗り2回の3工程を1日で施工完了する。作業期間を大幅に短縮し、荒天待機が生じる港湾工事特有の海象による作業工程への影響も最小限に抑えられる。
東洋建設はこれまで、供試体による要素試験や実構造物で、実証実験によるデータ収集を実施してきた。今後は、長期的に性能を確認するとともに、多用途に適用可能な工法の開発も継続していく。
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