2019年10月に、正殿など9棟の建物が焼失した「首里城」の復元工事で、正殿の骨組となる柱や梁の建方工事が始まるのに先立ち、1本目の柱を建て込む「立柱式」が執り行われた。2023年12月までに、正殿の骨組みが組みあがるという。
清水建設・國場組・大米建設JV(以下、清水建設JV)は2023年9月4日、内閣府沖縄総合事務局発注の「首里城正殿復元工事」で、立柱式を執り行ったと公表した。
立柱式は工事の安全成就と永遠堅固を祈念する儀式で、1本目の柱を建て込む際に執り行うことが工事関係者の習わしとなっている。立柱式を経て、正殿の骨組となる柱や梁(はり)を組み立てる建方工事が本格化し、焼失した正殿が徐々に形を取り戻していくことになる。
首里城正殿を含む、他8棟の主要施設が2019年10月31日未明に焼失したことを受け、政府は同年12月に「首里城復元に向けた基本的な方針」、2020年3月に「首里城復元等の復元に向けた工程表」を決定した。
その後、2022年4月に入札を公告し、同年8月の入札で清水建設を代表とするJVが選定され、請負契約を締結した。
清水建設JVは2022年11月の着工後、国が建設した木材倉庫や加工場で桧などの支給材の加工に加え、正殿復元整備工事の現場を雨や風から保護する素屋根(約41.5(幅)×23(高さ)×33(奥行き)メートル)の建設、正殿の基礎工事を進めてきた。
2023年9月4日の立柱式で建て込まれた1本目の桧柱は、直径約40×長さ約720センチ、重さ約500キロの奈良県産大径材で、正殿1階中央部の御差床(うさすか)と呼ばれる国王の玉座周りに位置する。
今後は、躯体工事が本格化し、同年12月までに柱と梁で513本、約300立方メートルから構成される正殿の躯体が組み上がる。躯体に用いられる桧材は奈良、和歌山、長野、三重、福井、など19都道府県から調達されたもので、沖縄県産として、オキナワウラジロガシが小屋丸太梁2本に用いられるという。
正殿復元整備工事が最盛期を迎えるのは、2024年7月頃からで、約1年間にわたり日々、宮大工や朱塗りを行う塗装工をはじめ、瓦工、土居葺き工、石工などの匠80〜90人が現場に入場する。工事の主役となる宮大工の会社は福井県に本社を置きますが、現場に常駐させる約30人の宮大工のうち、10人前後が沖縄県出身者で、伝統木造建築の技術の伝承に努める。全体の完成は2026年秋を見込む。
なお、復元整備工事は素屋根の中で進められるが、「見せる復興」を掲げ、首里城の有料区域への来場者は、素屋根の中に設けられる見学エリアから「今しか見られない」工事の様子が見学できる。
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