戸田建設は、管パイプと電波を放射するアンテナユニットで構成し、電波が届きにくい環境にWi-Fi環境を構築する「ウェーブガイドLANシステム」を地下土木工事の作業所に導入した。
戸田建設は、無線LAN環境構築技術「ウェーブガイドLANシステム」を2023年10月に電波が届きにくい地下土木工事の作業所へ適用し、その有効性を確認した。
ウェーブガイドLANシステムは、LANケーブルを敷設することなく建物空間内にWi-Fi電波環境を構築できる技術。電波を放射するアンテナユニットに建設現場で仮設材として用いられる単管パイプ(導波管)を接続し、アンテナユニットを縦方向に敷設することで、LANケーブルを敷設せずに電波を放射する。これまで、携帯電話がつながりにくい高層ビルの作業所や地下に設けた現場事務所に導入し、安定したWi-Fi電波環境を構築してきた。
今回適用した作業所は、ケーソン形状33.4(幅)×35.3(高さ)×80.3(奥行き)メートルの2カ所から成るニューマチックケーソン工法を採用し、川沿いの地域を大雨による水害から守るため、地下に増水した水を溜める鉄筋コンクリート造の箱を建設している。コンクリートの躯体に覆われた地下空間は、地上からの電波が届きにくく、作業者は図面の確認や施工管理者との確認のために、Wi-Fi電波が届く場所まで移動しなければならなかった。
ウェーブガイドLANシステムは、地上で組み立てた後、クレーンで吊(つ)りおろし、躯体へ固定。わずか半日の作業時間で、大規模地下空間に安定したWi-Fi電波環境を整備した。その結果、作業場所でのタブレットを使用した図面の確認や離れた場所にいる施工管理者とその場での連絡が可能となったという。
ウェーブガイドLANシステムは、Wi-Fi電波環境を簡単に構築可能なため、多様な現場に適用が見込める。また、本設設備として、エレベーターシャフト内にも採用すれば、ロボットと人間がエレベーターに同乗して作業を行う、ロボットフレンドリーな環境の構築も想定される。
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