建設DXの推進を目的に建設テック企業が中心となり、2023年1月に発足した任意団体「建設DX研究所」。今回は、建設DX研究所の一員で、AIを用いた道路損傷検知製品を展開するアーバンエックステクノロジーズが、自治体が抱える道路維持管理の課題解決に寄与する建設DXについて紹介します。
道路をはじめとする都市インフラは、都市の規模に関係なく、暮らしや経済活動を支える社会の基盤です。しかし、その維持管理を担う自治体は、今まさに多くの課題を抱えています。
第一の課題は都市インフラの老朽化です。高度経済成長期に整備された道路は、長い年月を経て、穴ぼこ(ポットホール)、ひび割れなどの損傷が多発しています。下水道管の劣化による道路陥没を報じるニュースを目にする機会もこれまで以上に多くなり、社会的な関心が高まっています。ある調査では、埼玉県八潮市で起こった道路陥没事故を受けて、「インフラ老朽化への関心が高まった」と回答した人が8割を超えたという結果もあります。
第二の課題は、維持管理にかかる人員や知見の不足です。自治体では、調査や点検、補修を担う専任職員の数は減少傾向にあり、国土交通省の調査によると、土木や建築を担う技術系職員が全くいない市町村は全体の4分の1に上るとの結果となっています。熟練の技術を有する経験豊富な職員の退職や定期的な異動もあり、巡回/点検の方法や判断基準のばらつきが生じてしまうため、点検対象の網羅性や均質な判断基準を十分に担保できていません。自治体からは「巡回点検を自治体職員だけで賄(まかな)うのが難しい」「生活道路や多様な道路網を網羅的に点検するのが困難」といった声が少なくありません。
さらに、財政面の制約も大きな課題です。厳しい自治体の財政状況の中、維持管理予算の確保が年々難しくなっています。専用車両を用いた点検や目視巡回には時間もコストも掛かります。道路損傷を放置すれば安全リスクだけでなく、管理瑕疵(かし)による訴訟リスクも生じます。補修を後手に回せば損傷が進行し、結果的により大きな補修費が発生するという悪循環に陥りがちです。
こうした状況下で、自治体の道路維持管理業務の効率化、生産性向上、予防的メンテナンスへの転換は喫緊の課題です。官民連携による効率的なモニタリング体制の構築が求められており、アーバンエックステクノロジーズは、こうした課題を「データ×AI」で解決を目指しています。
現在、アーバンエックステクノロジーズではスマートフォンを用いた道路損傷検知サービス「RoadManager(ロードマネジャー)」を提供しています。ある都道府県では、延べ1000キロ超の広大な道路の維持管理にRoadManagerを導入。路面損傷の画像をAIで検知し、管理することで、従来は巡回や目視で行われていた点検を効率化しています。具体的には、パトロール車両に搭載したスマホからAIが損傷データを自動取得し、取得したデータは地図上やWebダッシュボードで、種類別に整理されて可視化されます。
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