5Gの普及に欠かせない、複数の通信キャリアがネットワーク設備を相乗りする「インフラシェアリング」。日本初のインフラシェアリング事業者として、屋内外の5Gネットワーク設備を提供するJTOWERが構想する事業戦略のビジョンとはどのようなものか?
国内インフラシェアリング企業のJTOWERは2023年3月17日、東京都港区南青山の東京本社で、事業説明会と新たに開設した「JTOWER TECH LAB. Tokyo」の見学会を開催した。
インフラシェアリングとは、簡単に言えば、携帯キャリア各社がバラバラに保有/整備しているネットワーク設備の共有を指す。設備を共有することで、設置/運用/保守にかかるコストを削減できる他、全体の設備数を抑えられることで、設備設置に必要な資材や工事回数、設備運用時の消費電力の総量が減り、環境負荷の低減にもつながる。政府が進める「デジタル田園都市国家構想」でも注目される技術だ※1。
インフラシェアリング事業は、海外では既に広く行われているが、日本で初めて事業を手がけたのがJTOWERだ。
事業説明会に登壇したJTOWER 代表取締役社長 田中敦史氏は、自社の優位性について、「2012年に他に先駆けて国内でのシェアリング事業をスタートさせて以降、蓄積されたノウハウがある」と語る。さらに、共用装置の独自開発、携帯キャリアとの業務提携を結ぶ信頼感、携帯キャリア4社への商用サービス提供など、テクノロジーやリレーション、実績や事業基盤面などでも、他社にない強みがあると強調した。
JTOWERの事業内容は大きく3つに分類される。
その1つが「屋内インフラシェアリング(IBS:In-Building-Solution)」事業で、大型施設内で電波環境整備に必要なアンテナや配線、中継装置などの設備を共有する。
JTOWERの共有設備導入物件数は近年、4G、5Gともに堅調の成長を続けており、2022年12月時点で国内の導入物件数(導入予定も含む)は4Gで405件、5Gで120件に上る。
物件あたり平均の参画キャリア数を示す「平均参画キャリア数(Tenancy Ratio)」も、2018年9月以降はおおむね2.6〜2.8付近で安定して推移。これは、JTOWERのIBSを導入した施設のほとんどで、日本の大手キャリア3社(NTTドコモ/KDDI/ソフトバンク)が共用設備を利用していることを意味する。
導入物件の種別は、商業施設や複合施設、ホテルオフィスビル、病院などが多くを占める。規模は、延べ床面積3万平方メートルを超えるような、キャリアが屋内対策を必要とする大型物件が中心となっている。
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