コベルコ建機は、Convergence Lab.からエッジAIサービスの提供を受け、クローラークレーンなどでエッジAIコンピュータを接続してディープラーニングによる建機制御の実証実験を行う。
AI開発事業やAI研究開発の支援を行うConvergence Lab.(コンバージェンス ラボ)は2023年7月5日、コベルコ建機にエッジ端末でのAI技術適応サービスを提供すると発表した。提供するエッジAIは、建設機械のAI活用を見据えたディープラーニングを用いた実証実験に用いられるという。
エッジ端末(エッジAI)とは、エッジ(端)の端末のことで、広義ではスマートフォンやPCなどの現場に置くIoTデバイスを指す。クラウドをつかったディープラーニングの弱点を解消するために、ネットワークの終端であるエッジ端末でAIの推論を行う。
コベルコ建機に提供するエッジAIサービスは、Convergence Lab.が研究開発したHAI(ヒューマンエージェントインストラクション)を活用したAI技術で、建機の動きを検知して、エッジ端末により、ディープラーニングの推論を実行する。
しかし、クラウドを介在すると、どうしても情報通信による遅延やネットワーク接続の不安定さからくる悪影響が生じる。建機を使用する過酷な現場状況下での制御では、遅延の発生は作業員の安全性の面から課題があった。
Convergence Lab.の開発したエッジ端末を活用したディープラーニング技術は、建機の手元に置かれたエンドポイントAI端末で、必要かつ十分なデータを収集し、実時間で判断し、建設機械の複雑な動きにも対応する。サーバへの通信も起こらないため、建設現場の通信環境の影響を受けない。さらに通常のノートブック型のWindowsPCでの高度な計算、判断が瞬時に可能で、性能要件が限定されるデバイスの汎用性にも優れている。
また、Convergence Lab.は、制御系の通信も提供している。制御系通信は、シリアル通信技術を活用し、データをやりとりすることで、建設機器の操作の核となるマシンコントロール技術となる。
Convergence Lab.はAI技術により、日本社会の抱える少子高齢化による労働人口減少や作業熟練者の退職問題、労働安全の確保といった社会課題の解決に取り組んでいくとしている。
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