鹿島建設は、高流動コンクリートを用いた「全自動トンネル覆工コンクリート打設システム」を「新名神高速道路 宇治田原トンネル西工事」の一部区間に、実工事で初めて導入した。
鹿島建設は、高流動コンクリートを用いた「全自動トンネル覆工コンクリート打設システム」を、西日本高速道路発注の京都府綴喜郡宇治田原町で工事が進められている「新名神高速道路 宇治田原トンネル西工事」の一部区間に、実工事で初めて導入した。
中流動覆工コンクリートに比べ、覆工用高流動コンクリートは締固めが一切不要なため、打設時の人員で約60%低減と、コンクリート表層品質の均質化を実現したという。
従来、トンネル工事の覆工コンクリート打設では、締固めや配管の切替えなどの人力作業が伴い、作業員の技量や熟練度による影響も大きく、品質不良発生の懸念があった。さらに、技能者不足や労働災害などもあり、覆工コンクリート打設自動化のニーズが一層高まっている。
そこで鹿島建設は、作業の削減と生産性/安全性の向上を目的に、覆工用高流動コンクリートを用いた同システムを2020年に開発し、静岡県富士市の模擬トンネルで、有用性を確認した。
今回適用したのは、約84メートルの打設区間を対象に、覆工用高流動コンクリートを採用した。中流動覆工コンクリート区間では、棒バイブレータを用いた人力での締固めが必要だったが、覆工用高流動コンクリートを用いた区間では締固めが全て不要となった。その結果、狭い空間での人力作業がゼロ、打設人員が7人から3人に削減され、省力化と省人化を実現するだけでなく、コンクリートの充填(じゅうてん)性も良好だったという。
硬化後の覆工用高流動コンクリートの表面は、中流動覆工コンクリートと比べても美しい仕上がりとなり、透気試験でも、中流動覆工コンクリート区間に比べ透気係数が「良」の結果にまとまり、ばらつきが小さく均質になると確認した。
さらに、コンクリート表層の品質評価指標となる透気試験では、同条件の環境下で施工した中流動覆工コンクリートの区間に比べ、透気係数が「良」となり、ばらつきが小さく、均質となった。
トンネルは片側3車線の大断面で、剥(はく)落防止のために、補強材として繊維と鉄筋を用いる繊維補強型の覆工用高流動型コンクリートを採用し、充填性が低下しないように高い流動性を確保したことで、締固めが必要なくなり、全自動打設のメリットが最大限に発揮された。
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