交通量調査は、交差点などを通行する車両や通行人を人が手に持ったカウンターで記録しているが、人員の手配や確保、計測のミスなどがネックだった。AIを使った交通量調査システム「トラカメ」は、システム一式を設置するだけで人や車両を自動認識し、詳細なデータが取得できる。
フューチャースタンダードとセフテックは、「建設・測量生産性向上展(CSPI-EXPO)」(会期:2023年5月24〜26日、幕張メッセ)で、AIを使った交通量調査システム「トラカメ」を共同展示した。交通量の調査を行う場所に、トラカメを設置して電源を入れると、人や車両を自動で認識し交通状態を正確に記録できる。
フューチャースタンダードは、AIを使った映像解析プラットフォーム「SCORER(スコアラー)」を開発し、サービスを運営するテクノロジー企業だ。SCORERは、国土交通省の標準機器仕様書に準拠した道路事象検知装置として認められている。一方のセフテックは、「安全(SAFETY)」と「技術(TECHNOLOGY)」を理念とする企業として1957年に設立。以降、工事現場などで使うバリケードや電飾看板といった保安用品を扱っている。工事現場に限らず街のあらゆる場所で目にする「カラーコーン」も、実はセフテックの登録商標だという。
今回、フューチャースタンダードとセフテックがタッグを組んでブース展開を行ったことには理由がある。その理由の1つが、装置設置の問題だ。
トラカメで交通量の調査を行うには、まずカメラを地上から4メートルほどの高さに設置しなければならない。それは、調査を行っている道路に、背の高いトラックなどが止まっても、その向こう側の状況を確実に捉えるためだ。しかし、4メートルの高さを三脚で実現しようとすると、三脚の脚を開くために広いスペースが必要になる。NTTや電力会社が設定している電柱にカメラを設置する方法もあるが、その場合は耐荷重や安全面でのハードルが高い。
AIを使った交通量調査システムは、以前から利用されていたものではない。ここ最近で利用が広まっているシステムで、現場導入にはその都度、関係各所との調整も必要になる。そこで、セフテックとのコラボレーションが必要になった。
セフテックは、道路工事などの現場に対し、多くの保安用品を設置してきた。それを通じて蓄積された機器の設置法や自治体の関連部署との折衝手法が、トラカメの設置や運用にも生かされている。映像解析のソリューションをフューチャースタンダード、設置をセフテックが分担することで、トラカメをスムーズに社会実装まで導けるというわけだ。
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