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» 2023年07月14日 11時00分 公開

建機20台を4人で管制、鹿島建設の建機無人化施工「A4CSEL」を成瀬ダム堤体打設工事に適用建機無人化

鹿島建設は、複数の建機を遠隔でコントロールする「A4CSEL」を秋田県の成瀬ダム工事に適用し、安全性と生産性の向上に加え、環境配慮面での効果を確認した。

[BUILT]

 鹿島建設は、工事現場の安全性と生産性を飛躍的に向上する建設機械の自動運転を核とした自動化施工システム「A4CSEL(クワッドアクセル)」を開発し、2015年から工事に導入してきた。秋田県雄勝郡東成瀬村の成瀬ダム堤体打設工事で、A4CSELを用い、現地発生材のCSGによる打設を行った効果、有人運転の場合との比較で、省力化および生産性の向上とともに、施工時のCO2排出量の抑制にも大きな効果があることを確認したと2023年6月に明らかにした。

最小人員数かつ高い生産効率で、建機の遠隔施工が実現する「A4CSEL」

 A4CSELは、Automated/Autonomous/Advanced/Accelerated Construction system for Safety,Efficiency,and Liabilityの略で、これまで労働集約的かつ定性的に行われていた建設工事を1.作業の標準化、2.運転の最適化、3.計画の最適化により、最小人員数かつ高い生産効率で実施できる。人が作業データを送ると、建機が定型的な作業や繰返し作業を自動で行う。このため、必要最小限の人員で、複数の機械を同時に動かした遠隔施工が実現する。

 鹿島建設では、機械を計画通りに動かすことで、計画通りの生産を行う製造工場に見立てた「建設現場の工場化」を目指し、成瀬ダム工事を含め、これまでに6件の現場にA4CSELを導入している。

A4CSELを導入している成瀬ダム堤体打設工事 A4CSELを導入している成瀬ダム堤体打設工事 出典:鹿島建設プレスリリース
A4CSELのコンセプト(開発当初) A4CSELのコンセプト(開発当初) 出典:鹿島建設プレスリリース

 2022年度の成瀬ダム工事でのCSG打設は、15台の自動化建設機械を4人で管制。2023年度は自動化機械を増強し、最大20台を4人で統合管理する。CSGはCemented Sand and Gravelの意味で、現地発生材(石や砂れき)とセメント、水を混合して製造する材料のこと。

 成瀬ダム工事での自動ブルドーザによるCSGまき出し作業(敷き広げる作業)は、AI手法、シミュレーションで最適化された作業計画をリアルタイムで作成した。そのため、有人運転よりも少ない動作で、まき出しが行える。2022年度のダム工事での自動ブルドーザによるCSGまき出し量は毎時254.4立方メートルと、有人運転の毎時128.6立方メートルの約2倍。成瀬ダム工事では、2022年10月にA4CSELによる生産性の向上が大きく貢献し、月間打設量の国内最高記録を62年ぶりに更新した。

 転圧作業時の自動振動ローラは、計画経路に対して±10センチの精度で走行する。一方、有人運転では通常±20〜50センチの精度となり、転圧時のラップ幅のばらつきの差から、最小転圧レーン数に対してレーン数が多くなるケースが発生してしまう。その点、自動運転は有人運転に比べ、走行距離が15〜25%削減され、同じ割合で作業時間も短縮する。

 ブルドーザのまき出し作業の効率化では、走行距離は、有人運転に比べて約4分の1に低減した。同じ計画で運転する場合でも、有人運転はまき出し箇所から距離をおいてオペレーターによる目視確認が必要な一方、自動運転はセンサーで動くため、最小限の走行距離や時間での作業が可能とことが要因となっている。

 燃料消費量やCO2排出量の抑制では、A4CSELの導入で、単位時間あたりの打設量増大と建設機械の走行距離の短縮が実現する。単位生産量に対する燃料使用量が減ることで、CO2排出量の抑制につながる。

 成瀬ダム工事では、自動運転でのまき出し作業1立方メートルあたりの燃料使用量を有人運転と比べたところ、約40〜50%削減した。

CSG敷均し時の燃料消費量比較(最大と最小比較) CSG敷均し時の燃料消費量比較(最大と最小比較) 出典:鹿島建設プレスリリース

 今後、鹿島建設では、自動化施工率を高めるため、自動化建設機械の機能と性能のさらなる向上、対象機種の拡大で、A4CSELを多くの現場に継続的に導入していく。併せて、現場導入により見えてきた課題や問題点を解決し、施工時のCO2排出量削減につなげることで、環境負荷低減も目指すとしている。

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