一方で製品紹介担当者は、3Dプリンタによる部材の製造には、現状で課題も存在すると指摘する。それは、造形スピードが量産化に対応できない点だ。
3Dプリンタの造形方式はさまざまで、例えばMark Twoが採用している材料押出法(MEX:Material Extrusion)のFDM(Fused Deposition Modeling)方式は、ワイヤ状のフィラメントをギヤで送り出し、プリントヘッドのヒーターで溶かしながら造形する。造形速度を速くするにはヘッドを早く動かす以外に方法がなく限界がある。
また、ローラーで面的に広げた粉末材料に、レーザーを照射して造形する方式は、「面で造形するため、1個でも複数でも造形速度は変わらないので、量産に対応できるかもしれない。だが、高強度部材のカーボンファイバー材料をどう組み合わせるかはまだ明確な答えがない」。
製品紹介担当者は、「3Dプリンタメーカー各社は今後、造形速度の高速化を目指すだろうが、まだ時間がかかる」との展望を示したうえで、当面はドローン開発のように少量多品種の部材を製造するマーケットにターゲットを絞り、3Dプリンタを訴求していきたいと今後の道筋を示した。
日本3Dプリンターのブースで、3Dプリンタとともに展示していたのが、SHINING(シャイニング)の高精度3Dスキャナー「FreeScan Combo」だ。
SHININGは、3Dスキャニング分野で多数のコア技術を保有する先端テクノロジー企業。航空宇宙、自動車、ロジスティック、電力、製造業などの業界で活用されている。
FreeScan Comboはブルーレーザー、VCSEL光源(赤外線レーザー)を搭載したハンディタイプのレーザースキャナー。製品寸法193×63×53ミリ、重さ620グラムと小型て軽量ながら、3つのレーザーモード(複数クロススキャン/シングルスキャン/ファインスキャン)と、VCSELモードの4つのスキャンモードを備え、レーザースキャナーモードでは3D精度最高0.02ミリ、VCSELスキャンモードでは最大毎秒225万点の高速スキャンが実現する。
操作性にも優れ、誰でも簡単に3Dデータを取得できるのが特徴となっている。取得した3Dデータを3D設計データと比較して精度を確認したり、製品構造を分析するリバースエンジニアリングに活用したりと、多様なシーンでの活用が見込まれている。
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