RCの鉄筋とコンクリートのように“樹脂に繊維を流し込む”3Dプリンタ アルミに匹敵する強度でUAVパーツ製作Japan Drone 2023(1/2 ページ)

日本3Dプリンターは、航空宇宙エンジニアのグレッグ・マーク氏が設立したMarkforgedの3Dプリンタ「Mark Two」で、ドローンのパーツ製作を内製化することを提案している。Mark Twoは、樹脂材料の中にカーボンファイバーをはじめとする繊維材料を、長繊維状態で流し込めるのが特徴だ。

» 2023年08月22日 07時17分 公開
[加藤泰朗BUILT]

 日本3Dプリンター(JAPAN 3D PRINTER)は、「Japan Drone 2023|第8回−Expo for Commercial UAS Market−」(会期:2023年6月26〜28日、千葉・幕張メッセ)に初出展し、3Dプリンティングや3Dスキャニングのソリューション群を出品した。

3Dプリンタでドローン部材開発の内製化が可能に

日本3Dプリンターの展示ブース 日本3Dプリンターの展示ブース

 3Dプリンタや3Dスキャナーの販売代理店業を営む日本3Dプリンターが、ドローンを専門に扱う展示会に出展した理由を、商品紹介担当者は、3Dプリンタがドローンの製造や開発にも力を発揮できることを広く伝えるためと説明する。「ドローン部材は、機種ごとにカスタマイズされたものが多く、大量生産は少ない。そうした部品を、試行錯誤を繰り返しながら、従来のように金型から造形するとなると、膨大な時間(リードタイム)とコストがかかってしまう。3Dプリンタで内製化することにより、コストや開発時間の短縮につながるはず」。加えて、近年は3Dプリンタがドローン製造に活用される事例が集まってきたことも、今展の出展を決めた理由だという。

樹脂材料に繊維材料を流し込む3Dプリンタ

 数ある展示商品の中で、担当者が強く推すのは、米Markforged(マークフォージド)の連続繊維対応樹脂3Dプリンタ「Mark Two」だ。

連続繊維対応樹脂3Dプリンタ「Mark Two」 連続繊維対応樹脂3Dプリンタ「Mark Two」

 Markforgedは、マサチューセッツ工科大学出身の航空宇宙エンジニアのグレッグ・マーク氏が2013年に設立した3Dプリンタに関連するソフトウェアメーカー。航空宇宙産業、ロボット工学、民生用電子機器などに携わる世界中の企業で導入実績がある。

 Mark Two最大の強みは、世界で唯一を謳う、樹脂材料の中にカーボンファイバーをはじめ、繊維材料を長繊維状態で流し込める技術を有していることにある。骨組みとなる繊維材料を樹脂材料で覆うように造形し、高強度の部材を作り上げる技術は、鉄筋コンクリートの鉄筋とコンクリートの関係をイメージすると分かりやすいだろう。

 「ドローン部材は、軽量かつ高強度なことが重要だ。例えば、炭素繊維複合材料(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)で造形すれば、軽量で、アルミニウムに匹敵する強度をもたせることができる」(製品紹介担当者)。高強度の“モノ”を造形できるため、ドローン機体の部材だけでなく、専用の治具や生産設備の部品などの制作にも役立てられる。

カーボンファイバー、アラミドファイバー、HSHTグラスファイバーなどの、さまざまな材料で造形した治具や部品、ドローンのボディーなどのサンプル カーボンファイバー、アラミドファイバー、HSHTグラスファイバーなどの、さまざまな材料で造形した治具や部品、ドローンのボディーなどのサンプル

 また、Mark Twoを使うことで、試作品の製作過程も変わる。「これまでにも、試作品の製作などに3Dプリンタは活用されてきた。ただ、試作品を作って、金型を作り、部材を製作する一般的な方法では、リードタイムやコストを抑制にはつながらない。金型無しで実用化するモノを直接3Dプリンタで造形できるのがMarkforgedの強みだ」(製品紹介担当者)。

Markforgedの3Dプリンタをドローンの部材造形に活用した事例も増えてきた Markforgedの3Dプリンタをドローンの部材造形に活用した事例も増えてきた
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