大林組とオノデラ製作所は、山岳トンネル工事で狭い空間でも安全かつスムーズに掘削時の残土の積み込み作業が可能な特殊バケット「スライドローダー」を共同開発し、北海道新幹線の立岩トンネル山崎工区の建設工事で実証実験を行った。
大林組とオノデラ製作所は2023年3月17日、山岳トンネル工事を対象に、狭い空間でも安全かつスムーズに掘削時の残土の積み込み作業が可能な特殊バケット「スライドローダー」を共同開発し、北海道新幹線の立岩トンネル山崎工区の建設工事で実証実験を行ったと発表した。
トンネル掘削時に発生する残土は、ホイールローダーを使い運搬車両に積み込んで搬出する。従来は、ホイールローダーと運搬車両を並行に配置し、バケットを傾けて積み込む「サイドダンプバケット機構」を用いていたが、バケット上部に十分な可動空間を確保する必要があり、換気設備や照明が干渉しないよう操作には熟練した技術が必要だった。
今回開発したスライドローダーは、山岳トンネル統合システム「OTISM(Obayashi Tunnel Integrated System)」のトンネル掘削の安全性向上・省人化に関する「OTISM/TUNNELING(オーティズム/トンネリング)」の構成技術となる。
スライドローダーでは、バケット内に設置した排土板を排出方向に横移動させることで、残土の積み込みが可能となり、低空間での積み込みと容易な運転操作が実現する。サイドダンプバケット機構に比べ、低い位置で排土作業が行えるので、これまで使用していたホイールローダーよりも大型で上位性能のものを使用可能になる。その結果、使用できるバケット容量を増やすことで、積み込み時間をおよそ3割削減できるという。
また、旧来のサイドダンプバケット機構では、周辺との接触を回避する必要があったが、スライドローダーはシンプルな動作機構のために接触損傷リスクを低減し、熟練した技術が不要なため、技能者不足の解消も期待できる。今後は、繰り返し動作について検証し、ずり出し作業の遠隔化や自動化を目指す。
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