山岳トンネルで自律飛行ドローンの無人点検を本格運用：ドローン

[BUILT]

　青木あすなろ建設とSpiral、クオリカは、非GNSS環境下かつ障害物の多い山岳トンネル坑内で、自律飛行ドローンを使用した坑内機械設備の無人点検本格運用を実施し、日常点検業務の省力化を実現した。

使用したドローン　出典：青木あすなろ建設プレスリリース

　山岳トンネル坑内は暗所かつ、セントルなどの機械設備や重機が多く、巡視可能時間も限られている。自律飛行ドローンによりこれらの課題を克服し、日常の点検作業の省力化、生産性の向上と安全性を確保するため、実証実験および本格運用を実施した。

　今回の実証実験および本格運用では、Spiralの特許技術である非SLAM型屋内自律飛行システム「MarkFlexAir（マークフレックスエアー）」を使用した。遠隔操作で充電ポートから離陸し、飛行指示情報が入ったマーカーをドローン搭載のカメラが読み取り自律飛行する。

　2021年11月、まずは近畿地方整備局発注の大野油坂道路大谷トンネル箱ケ瀬工区工事にて、セントルを避けて飛行するための実証実験を行った。セントルの入口や出口などドローンの飛行経路が変化する地点にマーカーを設置、セントルを避け、セントル内部の通過を可能とした。

　さらに2021年12月、2022年3月には、国土交通省国土技術政策総合研究所実大トンネルにて実証実験を重ねて飛行精度を高め、非GNSS環境下でも安定した飛行が可能であることを確認した。

自律飛行の概要と実証実験の飛行経路　出典：青木あすなろ建設プレスリリース

充電ポートと実証実験の様子　出典：青木あすなろ建設プレスリリース

　2022年10月には、大野油坂道路大谷トンネル箱ケ瀬工区工事での本格運用を実施した。充電ポートを始点と終点の2カ所に設置し、事務所などからPC操作で離陸させ、全長約970メートルを自動巡回させた。これまで、機械設備の定期巡回点検は現場職員が点検箇所を目視確認していたが、移動や歩行による点検に多くの時間を要していた。事務所などからリアルタイムで坑内の点検が可能になり、省力化を実現した。

無人坑内点検の概要と飛行経路　出典：青木あすなろ建設プレスリリース

本格運用の様子　出典：青木あすなろ建設プレスリリース

　今後は、ドローン機体にガス検知器を搭載し可燃性ガスなどの検知や、災害時・停電時の暗やみでの点検などの展開を検討しているという。