西松建設とジオマシン、山岳トンネル油圧ショベルの無線遠隔操作システム山岳トンネル工事

西松建設とジオマシンエンジニアリングは、山岳トンネル施工に用いる油圧ショベルの無線遠隔操作システム「Tunnel RemOS-Excavator」を開発した。油圧ブレーカーの走行や切羽でのコソク、あたり取りといった作業を無線で遠隔操作できる。

» 2023年02月10日 08時00分 公開
[BUILT]

 西松建設は2023年1月10日、ジオマシンエンジニアリングと共同で、山岳トンネル施工に用いる油圧ショベルの無線遠隔操作システム「Tunnel RemOS-Excavator」を開発したと発表した。

無線遠隔操作システム「Tunnel RemOS-Excavator」のシステム構成例 無線遠隔操作システム「Tunnel RemOS-Excavator」のシステム構成例 出典:西松建設プレスリリース

 同システムにより、油圧ブレーカーの走行や切羽でのコソク、あたり取りといった作業を無線で遠隔操作できる。西松建設は今回、現場にて一連の遠隔操作を実証確認した。

 遠隔操作室には、操作用のレバーを搭載したコクピットや、映像を映すためのモニターを設置。切羽近くの映像や音、振動を感じながら、実機に似た感覚で油圧ブレーカーを遠隔操作できる。

遠隔操作室 遠隔操作室 出典:西松建設プレスリリース
コクピットおよびモニター(遠隔操作室内) コクピットおよびモニター(遠隔操作室内) 出典:西松建設プレスリリース

 切羽作業に合わせて設定を切り替えられるため、同じ設備を用いて他の重機を遠隔操作することも可能。また、重機メーカーを問わず後付けできる。

 油圧ブレーカーには、機体の周囲、切羽を映すための複数のフルHDカメラや機体制御盤を内蔵した。遠隔操作室から受信した操作信号や機体側で取得した各種データは、坑内と機体に設置した無線通信設備を介して伝送される。

 切羽あたり取り時のガイダンスシステム「切羽掘削形状モニタリングシステム」も備えた。切羽の掘削形状を重機に備えた3Dスキャナーで計測し、掘削形状の点群データや設計断面を比較、重機キャビン内のモニターに設計断面線よりも内空側に残ったあたり箇所をヒートマップで表示できる。

あたり箇所のヒートマップ表示 あたり箇所のヒートマップ表示 出典:西松建設プレスリリース

 遠隔操作により、飛び石や切羽崩落による人的被害の防止など、安全性の向上や作業環境の改善が期待できる。

 同システムは、西松建設が開発中の山岳トンネル無人化施工システム「Tunnel RemOS」の取り組みの1つとなっている。同社は、各技術の実証試験を2023年度までに完了させる計画で、2027年度までの実用化を目指す。

山岳トンネル無人化施工システム「Tunnel RemOS」の構想 山岳トンネル無人化施工システム「Tunnel RemOS」の構想 出典:西松建設プレスリリース

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