戦争で荒廃したウクライナの都市をバーチャルツインで再建、ダッソー・システムズ×Egis×B4スマートシティー

ウクライナ政府の指名により、Egis、ダッソー・システムズ、B4の3社が、ロシアの侵攻で破壊された市街地を再建するために3Dバーチャル技術と建築工学に関する知識と経験を結集させた。プロジェクトでは、3社連携による再建費用分析とチェルニーヒウ州とチェルニーヒウ市の復興に関する基本計画策定を2段階アプローチで取り組む。

» 2022年12月19日 15時00分 公開
[BUILT]

 フランスの大手建設コンサルタントEgis、ダッソー・システムズ、B4により結成された企業コンソーシアムは2022年12月13日、ウクライナ政府の指名を受け、同国市街地を再建するために取り組むことを発表した。再建プロジェクトは、フランス政府とフランス財務総局が支援している。

再建プロジェクトは3DEXPERIENCEプラットフォームを利用した2段階で進める

 再建プロジェクトでは、EgisやB4が有する建築工学に関する専門知識をダッソー・システムズの3DEXPERIENCEプラットフォーム上で活用し、まず北部のチェルニーヒウ州全体の被害調査と再建費用の分析、次に州庁所在地のチェルニーヒウ市復興に関する長期基本計画策定の2段階で進める。

 第1フェーズは、チェルニーヒウ州の被害状況の把握、再建費用の予測、当面必要となるインフラ再建の明確化で構成。ダッソー・システムズの3DEXPERIENCEプラットフォームは、異なる事業者や専門家の協業を加速するデジタル連携を実現し、EgisとB4は、それぞれが収集するあらゆる情報やその分析結果をプラットフォームで共有して利用する。衛星データ分析では、被害を受けた地域を自動検出して強調表示。また、現地調査では、計算結果と優先順位付け計画の妥当性を検証するための照合が実行される。

 第2フェーズでは、3DEXPERIENCEプラットフォーム上に、チェルニーヒウ市のバーチャルツインを構築。コンソーシアムの各社は、バーチャルツインを使い、新たに建設される建物の設計や市内交通、インフラ、その他サービスの運営組織を含む、最適な復興計画を検討する。各分野の関係者も連携して、浸水リスク、アクセシビリティー、交通網、土地利用、主要な都市資産の配置、既存の上下水道、ガス/電気、その他の社会基盤ネットワークなどに関連するさまざまな状況を検証するためにバーチャルツインを活用していく。並行して、既存の文書や市の行政部門から情報を入手し、近隣地域で居住者のニーズや期待、選出議員の展望、経済発展の課題などが確実に考慮されるようにする。

 プロジェクト期間を通して収集される全ての情報が、チェルニーヒウ市のバーチャルツイン上に送り込まれることで、都市の再建に関わる多様な組織が連携しながらチェルニーヒウ市の基本計画を策定できるようになる。

元浜組が現場で撮影した「工事写真レイヤー化」画像 チェルニーヒウ市の復興計画は3DEXPERIENCEプラットフォーム上にバーチャルツインを構築して検証していく Photo by Pixabay

 EgisのCEO Laurent Germain氏は、「Egisは1993年にウクライナに進出して以来、土木工事、道路や橋梁(きょうりょう)建設、水道、都市交通、港湾、水路、エネルギーなど、さまざまな方面で民間ならびに政府が出資する数多くのプロジiェクトを手掛けてきた。現在は23件のプロジェクトで、ウクライナの都市と社会基盤の再建に取り組んでいる。チェルニーヒウ州とチェルニーヒウ市の再建は、低炭素化や生物気候学を考慮した都市設計、自転車に優しい都市、より良い公共交通やマイカー相乗り通勤の基盤、安全で快適な公共緑地の設計の他、持続可能なスマートシティーを実現するEgisの主要な設計指針など、当社のグローバルな経験をウクライナにもたらす新たな機会にもなる」と話す。

 ダッソー・システムズのインダストリー、マーケティング&サステナビリティ担当エグゼクティブ・バイス・プレジデント フローレンス・ベルゼレン氏は、「当社は、長期的な影響をもたらす、有意義な共同プロジェクトを通じて、ウクライナの地方自治体がより良い都市づくりを進めていけるように支援することを目指す。当社の3DEXPERIENCEプラットフォームは、持続可能性を高めたレジリエントな都市開発で重要な役割を果たす。専門家の知識、ノウハウ、データによって強化されたバーチャルツイン・エクスペリエンスは、さまざまな状況を繰り返し検証して最適化することで、人々のニーズを満たす最適な方法を見つけ出し、気候変動に対処して、公共交通、スマートサービス、公共事業の計画の質を高められる」と説明する。

 また、B4のアソシエート・マネジャー Karim Bensiam氏は、「いまだ侵攻が進むなか、ウクライナの地方自治体は既に未来に目を向け、各都市の再建計画を立てているだけでなく、各地域の人々にその内容を共有しようとしている。3社連携による取り組みとエンジニアリングや建築に関する専門知識によって、一刻も早くウクライナを再建して、以前にも優る都市づくりを実現するという使命を全面的に支援していく」とコメント。

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